[めいこい] ー消えた花嫁ー [明治東亰恋伽] (ページ17)

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ー花嫁の修行の日々ーページ17

「はっ、はっ、やっ！！」

「動きが鈍い、もっと押し出すように」

「はい！」

バシッ、バシッと

人の体と体同士がぶつかり合う音が響く

最近やっと体術が人並みにできるようになった

流石は元新撰組隊士、剣術だけでなく体術も達人級だった

が、とても彼の修行は厳しかった

訓練している間は彼も本気だ、手加減などしてくれない

おかげでどれだけの傷と痣ができたことか

「そこまでだ、今日はもう終わりだ。俺は夕餉の準備をしてこよう」

「は、い」

つ、疲れた

重い足を引きずりながら部屋に入ると時計は４時を指していた

すこし、日が傾いてきた

もうすぐ、朧時だ

この時間は全てが曖昧になる

「にゃあ」

ふと猫の鳴き声がした

「また来たのか」

正体は分かっている

たびたびここに来る黒猫だ

おそらく、物の怪だろう

「……」

そっと猫が近ずいてくる

最近やっと心を開いてくれたようだ

「…...お前はどこから来たんだい？」

「……..にゃあ」

なにを言っているのかはわからない

けど、なんとなく聞いてみるのだ

「にゃあ」

ふと黒猫が私に背を向けた

尻尾をひりながらこちらを見ている

その意図が分かりわたしはすこしだけ微笑むのだ

「私は着いていかないよ。私を連れて行きたいのならもう少し頑張りな」

「………」

黒猫はそのまま塀を越えていった

さて、今度来る時はどうするのかな