ー花嫁と力ー ページ15
次の日の朝
私は藤田さんと二人で朝食を食べていた
きっとこの後彼は出かけてしまうのだろう
それなら、今言わなきゃ
「藤田さん」
私は持っていた箸と器をテーブルに置いた
「…….なんだ？」
食事中にこんな話、いけないとは思うけど
私は決めたんだ
「私に刀の使い方を教えてください」
「なんだとっ？」
厳しい顔つきになる藤田さん
それはそうだろうけど、私も引けない
でも藤田さんはきちんと理由がなければ許してもくれないだろう
それも承知だ
だから、私は話そう
「……..私たちが初めて出会ったときのことを覚えていますか？白無垢を着ていた私。実は私は神前挙式から逃げてきたんです。
信じられないかもしれませんが、私の夫になるべき人は人に化けた物の怪でした」
「っ？！」
驚く藤田さん
でも彼なら信じてくれると思っていた
警視庁妖羅課の彼なら、こんな突飛な話も
私は話した
昨日その彼に会ってしまったこと
これからはそうならなために強くなりたいと思ったことを
現代から来たというところと私の力のことだけを省略して伝えた
「そうか」
彼は思いつめたような顔をしている
「……..藤田さんが忙しいのはわかっています。でも、このままじゃいけないんです」
「……….駄目だ」
私の必死の訴えも虚しく彼は静かにそういった
「っ！...どうして、ですか？」
「刀の所有は法律で禁じられている」
「でも、藤田さんは持ってるじゃないですか」
「このサーベルは我々警察が巡査するにあたって許可されたものだ。一般市民のお前には渡せん」
「………….」
やっぱり、無理か
「……..しかし」
藤田さんはおもむろに口を開いた
「刀は無理だが、一つ案がある」
「ほ、本当ですか？！」
「ああA」
「なんでしょう」
藤田さんは私を見ながら、口元に弧を描いた
「お前、男になれ」
「………は？」
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作者名：Yukki | 作成日時：2015年2月15日 22時
