はじめまして。結婚してください。【紫】② (ページ6)

今日:13 hit、昨日:111 hit、合計:48,468 hit

・ページ6

あの後。

ちゃんとシャワーを浴びて服を着たものの脱衣所からなかなか出られずにいた。
下着姿を見られたのだ。しかも結構ガッツリ。
恥ずかしくて彼の前に出れなかった。

コンコン

「ねえAちゃ〜ん。もうあがってる？」
「…」
「怒ってる？ごめんね？でもかぁいかったよ！」
「ねえサイテー」
「あ、やっぱ出てんじゃん。入るよ」
「え、やだやだ！」

扉の向こうから聞こえた彼の声に思わず返事をしてしまった。
静止を聞かずにドアを開けて脱衣所に入ってきた辰哉は私をじっと見ていたかと思うと徐々にニヤケだした。

「な、なによ！」
「いや〜お風呂上がりえっろいな〜って」
「もう！サイテー！嫌い！」
「はいはい。好きなくせに〜」

ほら風邪引くよとドライヤーを片手にソファーの方へ行く辰哉。
それに素直について行き、ソファーに座る辰哉の前の床に座る。

「あつかったら言ってね」

ドライヤーの電源を押し、私の髪の毛を乾かし始める。
私の髪の毛に彼の指が通されて毛先までいくとまた次のところへ通されて。
なんだか心地がいい。

あまりの心地の良さにうとうとしているとドライヤーの熱風が当てられなくなった。

「もう終わり？」
「うん。終わり」
「そっかぁ。ありがとう」
「さっきちょっと寝そうになってたっしょ」
「だって気持ちよかったもん」
「かぁいい」

優しい笑顔で頭を撫でる辰哉。
漫画のヒロインにのみ向けられていたその視線が私に今向けられていて、なんだか嬉しくなった。