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会社までの道を歩く道中いろんな事を思い出した。
翔太と別れて休んでた会社に辰哉が家に居候し始めたからと久しぶりに向かったあの時の緊張感。
私のことをずっと待っていた翔太と、それに対して流した涙。
大介とのことで悩みに悩みながら歩いたこと。
泣きながら走ったあの日の絶望にも似た感情。
それから、辰哉が送ってくれた朝のこと。
ほんの数週間前のことだって何だか懐かしく感じてしまう。
会社の前についたはいいものの何もすることがないので道を引き返す。
本当にただ来ただけになってしまった。
「次はどこ行こうか」
「こっから近いところってどこ？」
「ん〜ショッピングセンターかな？」
「じゃあそこ行こ！ゲーセンも行こ！」
「え〜それは帰りにしてよ〜」
「まあそれもそうか〜」
ショッピングセンターに入って何をするでもなく2人で手を繋いで歩くだけ。
そういえば今辰哉がつけてくれてるピアスはここで買ったんだよね。
あ、フードコートで蛙化現象やってたよね、なんて話して笑って。
ほんとにただそれだけ。
辰哉はやっぱりゲーセンに行きたがってたけどまた後で、と出口まで引きずっていき、バス停に向かう。
「次どこ行くの？」
「海なんてどう？」
「あ〜俺が殴られたとこ？」
「そうそう。あの時は本当にごめんね」
「いやあれAちゃんのせいじゃないっしょ？」
「いや、でも…」
そんなことを話しているとバスが来て、並んで2人がけの席に座る。
思ったよりも距離が近くてドキドキして、辰哉の方を辰哉耳赤くしてたからお互いに緊張していたんだと思う。
付き合っても程よい緊張感はだいじだよ、なんてよく聞くからこれくらいの距離感、気持ちが正解なのかもしれない。
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作者名：雪野真哉 | 作成日時：2024年3月15日 22時
