はじめまして。結婚してください。【紫】② (ページ24)

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家に帰ってきてホットプレートを少し大きめの食器棚の上から引っ張り出す。
袋に入っているそれは以前…たぶん2年前くらいに使用してから一度も使っていなかったのでちゃんと動くか心配ではあるがやってみなくてはわからない。最悪ダメだったらフライパンで作ればいいだけだ。

世の中のお好み焼きは2種類あって。
蕎麦入りか蕎麦入りじゃないか。その2種類。
関西風、広島風なんてものは存在しない。蕎麦入りかそうじゃないか。それだけだ。
よくその言い方に対する論争があると聞いたことがあるので少なくとも私は絶対に〇〇風なんて使わない。

今回は蕎麦が入っていない材料を混ぜて焼く方。
蕎麦が入っているのも美味しいのだがあれは材料を重ねていくので正直家庭でするには大変で。
お店で食べる分にはどちらも美味しくていいと思うんだけど。

辰哉にそう力説したのだがあまり理解してもらえなかった。
Aちゃんと食べれたらなんでも美味しいよとだけ言われたのでそれ以上は何も言えなかった。

辰哉がホットプレートを除菌シートで拭いたりしてくれてる間に私はタネを作る。
2人で食べるには少し多いかなというくらいの量を作ってテーブルに持って行くと既に消毒をし終えたのか電源をつけて鉄板をあっためていてくれた。

「ありがと」
「いーえ。ね、早く焼こ」
「うん。このホットプレート焼けるかなぁ」
「わかんねえ〜」

そう言いながらさっき作ったタネをそっとホットプレートに落とす。
じゅ〜と音がしてそれと同時に辰哉がおお〜！と目を輝かせたのが可愛くてつい笑ってしまった。

出来上がったお好み焼きをキラキラした目で見た後いただきます！と熱いまま口に運んで熱っ！とハフハフしてた。
猫舌なんだろうな〜と思いながらまた次のお好み焼きが焼き上がるのを待つ。

「Aちゃん！」
「はいはいなんでしょう」
「めっちゃ美味いよ！天才！お店開けるよ！」
「んな大袈裟な。でもありがと。ただ猫舌なんだったらちゃんとふーふしてから食べてください」
「なんで猫舌ってバレたの！？…あふっ！(熱っ！)」

懲りずに熱いままのお好み焼きを口に運ぶ辰哉に思わず笑みがこぼれた。