・ ページ23
「とりあえず今回は片耳に一個だけ」
そう言われたので他はまた今度、病院とかで開けてもらおうと思う。
できれば辰哉に開けてほしいがそうもいかないことはもうわかりきっているのだから。私も、辰哉も。
開けた後、3日は触ってはいけないと言われたので鏡を見るたび触りたくなるのをグッと我慢した。
辰哉とのお揃いが、持ち物ではなく自分の体に増えたことが嬉しくて誰かに今すぐにでも自慢したい衝動に駆られたが辞めておいた。今は辰哉との時間のほうが大切だ。
その後辰哉との家の中を掃除して。
暗くなってきたので食材を買いにまた2人で出かけた。
歩いていると耳に風が当たり少しだけ痛んだ。
でもそれも辰哉とのお揃いの証で。痛みなんかどうでもよくなった。
「今日は何食べようか。私とか言わないでよ？」
「…なんでバレた」
「もう考えてることなんてお見通しよ。それで何にするの？」
「ん〜じゃあお好み焼きとか？」
「お、いいね。ホットプレート引っ張り出すよ」
お好み焼きの材料と缶ビールを次々にカゴに放り込んでレジへ向かう。
その途中で美味しそうなフルーツタルトを見つけた。直径10cmくらいの2人で食べきれそうなサイズ。
「ねえ辰哉。これ今夜一緒に食べる？」
「お、いいじゃん。美味しそう。でも今日は丸いものばっかだな」
「あ、確かに」
タルトもカゴに入れてレジで会計を済ませた。
いつも通りエコバッグは辰哉が持ってくれたし、空いてる方の手は繋いでくれた。
もう既に空は暗くなっていた。
今日は月が出るかな、と空を見上げながらゆっくり歩いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 463人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪野真哉 | 作成日時：2024年3月15日 22時
