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たこ焼きを食べ終わった後。
まだラーメンを啜っている辰哉を尻目に周囲をキョロキョロと見渡してみる。
お昼時だというのに私たちの周りにはあまり人がいないようだったのでリップと手鏡を取り出してこっそりと塗り直す。
私が好きなあまり濃くない赤色というよりも少しピンク色のもの。
それを薄く塗ってパッパッと唇の上下を合わせる。
あまりこういうことは人前でしないのがマナーだと分かってはいるのだが周囲に人がいないので。
「なんかそれいいねえ」
「それって？」
「その塗った後にパッパッってするやつ。めっちゃエ ロい」
「…置いていくよ」
「え、ごめんじゃん！」
別にそういうふうに言われて嫌なわけではないけどすぐそっちに繋げるのはやめていただきたいものだ。
しっかり食べ切ってお皿を返した後2人で今日の最大の目的地、ゲームセンターへ向かう。
「とりあえず両替しよ！3000円分くらい！」
「え、そんなに？」
「当たり前！いっぱい取るから！」
両替した小銭をズボンのポケットに入れてどれから取るかな〜と歩いている途中、私が好きなキャラクターのぬいぐるみを見つけた。
「うわ、かわいい…」
「お、それ欲しいの？」
「できる？」
「もちろんよ。見とけって！」
そう言って100円を入れてアームをなんの躊躇いもなく動かして。
「ほら見ろぉ！一発〜！」
「すっご！天才！」
「だろ！もっと褒めろ〜」
しっかりと一発で取ってくれるあたりさすがだ。
取ってくれたぬいぐるみを抱きしめながら次の獲物を探す辰哉の後をついて行く。
それから彼は何個も何個もぬいぐるみを取っては私に渡してきた。
二つ，三つくらいならまだ抱えることができたのだがそろそろ私が抱えきれなくなってきて。
「辰哉…もうそろそろ…」
「あれ！？前見えてないじゃん！？ごめん！取りすぎた！」
最後にもう一度私の好きなキャラのぬいぐるみを取ってくれてそれを私の頭の上に慎重に置いた。
「辰哉…」
「はははごめんごめん。なんかぬいぐるみに埋もれてんのかぁいくて」
「いくつか持ってよ〜」
笑いながら私の手からぬいぐるみをいくつか取ってくれて頭の上のぬいぐるみを持たせてくれた。
手は繋げなかったけど2人でぬいぐるみを抱えて並んで帰った。
「たまにはこうやってゲーセン行くのもいいもんなのね」
「だろ？また明日にでも行っちゃう？」
「お金無くなっちゃう」
ふふ、と2人で笑ってぬいぐるみをソファーに並べた。
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作者名：雪野真哉 | 作成日時：2024年3月15日 22時
