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いつもは10分かかる職場までの道をなんと5分で来た。
愛のパワーすごすぎ。
「おっはようございま〜す！大天使渡辺先輩！ご用件は何でしょうかあああ！」
「うるさいうるさい。んっとね、今日急に会議入ってそこで必要な資料があるんだけどどうしても俺1人じゃ大変だから手伝ってほしい」
「先輩のお役に立てるのならば喜んで熱意とこの身と心臓を捧げます！」
「そんなのまで捧げんな」
ほら手伝えなんてホッチキスを渡してくるのでとりあえずかばんを自分の席に置いて髪の毛の乱れを整えながら先輩の後をついて会議室に入る。
「うわっ。多っ」
「だろ？ふっかに押し付けられたんだけどさすがに1人じゃ無理」
「それで私を頼ってくださったのですねっ…！このA、期待に応えられるよう精一杯…！」
「分かった分かった。他の人が来る前にさっさと終わらすぞ」
みんなが来るまであと15分。
15分で山積みの資料たちがどうにかなるとは到底思えないがやるしかない。
そう、困っている推し様のために！
この順番で閉じていってくれという指示のもと私は無心で資料を重ねてはパチパチ止めていく。
だがこれでは効率が悪いことに気がつく。
「あの、先輩」
「ん？」
「あっ…さっきのめっちゃ好きです…」
「“ん”くらいいつでも言ってやるから要件は何だ」
「あ、すみません。えっとこれだとすっごい効率悪い気がするんですね」
「そうだな」
「私が資料をどんどん重ねていくんで渡辺先輩それを止めていってくれませんか？」
「あ〜うんわかった」
これでも高校時代から紙を重ねてはホッチキスで止めて、の作業をよくしていたので紙の扱いには自信がある。
どんどん重ねてその一部ごとに十字に重ねていって。
気づいたら最後の一部になっていた。
「できた！」
「すげえ。お前仕事早いな。ほんとに15分で終わると思わなかった。まじありがとう。」
「え、待って待って褒められた、お礼言われた！今日人生終わる…ああ神よ…朝から素敵な時間をありがとうございました…」
「俺そんな褒めてねえ？」
「そうですねえ〜あんまり褒めてはくれないですね。でもそのクールさがいいというか！もうときどき褒めてくださることで逆に嬉しさがやばいというか！」
「そ。まあいいや。とりあえず無理言って手伝ってもらったし今日飯でもいくか？」
「っ〜！？！？！？」
流石に夢かと思った。
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作者名：雪野真哉 | 作成日時：2024年3月15日 11時
