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そういえば朝一で康二から電話があったことを忘れていた。
ずっと待っていたのか。
「康二…その…」
「…付き合ってたん？」
「いや、あの、康二聞いて」
「なんでなん？なんで俺が好きって言った時にそう言ってくれんかったん？」
俺バカみたいやん、と泣きそうな康二。
とりあえず腕を引っ張って家まで連れていく。
家に入れてあげると康二はソファーに項垂れながら座った。
私は康二の前の床に正座した。
「康二。聞いて」
「嫌や！何も聞きたない！」
「いいから聞いて。推し様と私は…」
康二が告白してくれた時は付き合ってなかったけど今日付き合ったの、と言おうとして気づいた。
“俺と付き合ってることは会社では内緒で”
そういえばこんなことを言われてしまった。
てことは康二であってもこれは言ってはいけないのだ。
「…付き合ってないよ！」
「でもキスしてたやん！」
「それは…その…事故、事故です！」
「…じゃあなんであの人の車で帰ってきたん！」
「…昨日新人歓迎会で！みんなで飲むだけ飲んで雑魚寝してた！それで朝送ってもらった！」
半分本当、半分嘘。
申し訳ないが嘘をつかないとこちらとしても今後困るので…。
まあ言われてみれば朝帰りだもんなぁ。
康二が付き合ってるって思うのも無理ない。
まあ正直めっちゃ自慢したいけどね！？
あの推し様天使様渡辺様告白されて付き合ったんだ〜って！！！
なんならキスのことだって話したくてうずうずするけど推し様との約束だから守らなきゃ…！！！
さっきの約束は推し様が私に与えた“義務”“使命”。
つまり！私なら絶対秘密にしてくれるって信用してくれてるんですうううう！！！！
「…ほな、俺にもまだチャンスはあるやんな？」
「…ん？」
「俺さ、やっぱり諦めれへんから。どんどんアタックしていくわ！」
楽しみにしといてや！なんて急に元気になった康二に冷や汗が止まらない。
これは…困ったぞ…
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作者名：雪野真哉 | 作成日時：2024年3月15日 11時
