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目の前に立っているのは紛れもなく私の推し様大天使様で。
でも深澤先輩は来ないって言ってたし。
じゃあこの人は誰…？まさかの幻影？ついに私、幻まで見れるようになったのか？
「幻でもかっこいい推し様優勝すぎ…やっぱり私の中の推し様はスーツだからスーツの推し様の幻なのだね…くうっ…いつか私服でキラキラスマイルの推し様の幻が見たいっ…」
「…おいA」
「あ、そうだ。幻なら写らないよね、写真だ写真」
「は、おい。話聞けって、」
「いえーい！うわっ！！すんごいくっきり写るじゃん。最近のカメラは幻まで写真撮れてすごいなぁ…ハイテクだ…深澤先輩に自慢しよう」
「…お前は何意味わかんねえこと言ってんだよ」
幻の推し様に悔しいけどバイバイして部屋の中に戻る。
幻とはいえ推し様とツーショットを撮ることができたのだ。
家宝である。A家のご先祖様にしっかり見せなくてはならない。
「深澤先輩！聞いてください！さっき推し様大天使様の幻影が見えてっ！一緒に写真撮ってきたんです！」
「お、おうそうか。それでな、喜んでるところすんげえ言いにくいんだけどさ」
「なんでしょう！先輩にはこの美しいお顔が見えないのですか！？不意打ちだったから顔作れてなくてポカンとしてるこの可愛すぎるお顔がっ！家宝ですよ家宝！」
「…Aちゃん。それ本人だよ」
「…はい？」
またまた冗談を〜と後ろを振り向くと眉間に皺を寄せて腕組んでる推し様。
幻じゃないの？と推し様(仮)の頬を触ってみる。
触れる。スベスベピチピチのお肌。
「本物だぁっ！？」
「…だからお前話聞けって言っただろうが」
「あああ…まじでご無礼を…すみませんすみません…切腹します…」
「だからそこまでしなくていいって」
私たちのやりとりを見ていたのか周りから笑いが起こる。
ああもう本当に恥ずかしい。穴があったら入りたいってこのことを言うんだろうなぁ…。
もうさっきのですっかり酔いも覚めちゃったよ…。
でも推し様のお顔触れたしツーショットゲットできたしいっか。
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作者名：雪野真哉 | 作成日時：2024年3月15日 11時
