雪降る街で君とキスする (ページ7)

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後輩彼氏【桃】ページ7

「ねえねえA先輩ちゅーしよ！」
「…学校だから」
「でも今はだれもいないよ！」
「来たらどうするの」

放課後。午後4:50。
図書室の1番奥の1番端っこの席は私の特等席だった。
人もあまり来ないので勉強にうってつけだし、本だって図書室が閉まるまでは読み放題だ。
1人の放課後時間をエンジョイしていた高校1年生。
2年生に上がっても同じようにエンジョイできると思ってた。

『お隣いいですか！』

目をキラキラさせた派手な髪色の男の子が話しかけてくるまでは。
自由な校風がウリのうちの学校は髪色にも制限はないが、それにしたってピンク色の髪の毛だなんて攻めてるなぁ、悪い人もしくはチャラい人なんだろうと思ったのが第一印象。

『他にも席はいっぱい空いてますよ？』
『だってあなたとどうしてもお話ししてみたくて！何年生？同級生かな！』
『私2年生』
『あっれぇ！？俺年下じゃん！え、なんかめっちゃ失礼じゃない？俺！』

え〜先輩ごめんなさい〜と思っているのか思っていないのかわからないような軽い謝罪を受けながら、正直逃げたくてしょうがなかった。
男子とほぼ喋らない私からすると最初からこの距離感は怖い。

『俺佐久間大介！さっくんとか佐久間とか呼ばれてます！』
『はあ…』
『ね、先輩は？お名前』
『…A』
『ちっがうよ〜！下の名前！』
『…A』
『え〜！ちょー可愛い名前じゃん！じゃあ今日からA先輩って呼ぶね！インスタとかやってる？』
『いや、』
『じゃあLINE交換しよ！えーっとね〜』

あれよあれよと連絡先を交換してしまい、その日から様々なアプローチを受け、付き合うこととなった。
でも黒髪メガネの自分より髪染めて綺麗に巻いてメイクして〜ってしてる子の方がずっと可愛いのになんで私なんだろう、とずっと思っていた。

今日の放課後も彼は来て、私が勉強する横でちょっかいをかけてきていた。
そして冒頭に戻るわけだ。