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当日、待ち合わせの場所に向かう途中で、現実味が一気に増してきて緊張が最大限になった。
ドキドキしながら待ち合わせ場所に行くといつもより少しおしゃれな阿部さんが立っていた。
「お待たせしました…」
「おはよ。今日の服すごい可愛いじゃん！メイクとか髪の毛も…すごい似合ってる」
「あ、ありがとうございます…」
ナチュラルに褒めてじゃあ行こうか、と手を繋がれた。
こういうのに慣れているのかな、と少し複雑な感情を抱きながらも水族館を見て回った。
水槽から魚を見るときも、イルカショーを見ているときも彼はずっと目をキラキラさせてはしゃいでいた。
その後、全てを見終えてしまって何もすることがなくなってしまった。
無計画だった私たちは、そのまま晩御飯には早いし特段することはないと行った理由で一人暮らしの彼の家に行くことになった。
家に着くと彼に勧められるままお酒を飲んで少し酔ってきた。
阿部さんも酔ってきたのか肩に頭を乗せてきたりと甘えてきてそれが可愛くて。
距離がかなり近かったのもあったし、お酒が入っていたのもあって
「キスしてくれないんですか…？」
なんて聞いてみる。
もちろん期待はしていなかった。ダメだよ〜って優しく拒否してそろそろ送るよ、とか言われると思ってた。
「いいよ」
それなのに彼は私にそのまま長い長いキスをしてくれた。
短いキスだってまだしたことなかったからびっくりして私は顔を背けかけた。
「どしたの？」
「びっくりして…」
「ふふっ。可愛い」
彼はそのまままたキスをして次は舌を絡ませてきた。
頭がぼーっとなって、どうしたらいいかわからなかったけどこのまま離れたくなくて必死でそのキスに応えていた。
しばらくすると唇が離されて阿部さんにじっと見つめられた。
「Aさん…いや、Aさんさ、俺のこと好きでしょ」
「え、なんで、」
「そりゃあ自分をよく見てる人って分かるもん」
「え、あ、えっと…」
まさか好きバレしているとは思わなくて焦ってしまう。
「それでさ、このまま俺と付き合わない？」
「え、」
「俺も好きなんだけどどう？」
私が断ることはないってわかってる顔でそう尋ねてくる。
意地悪だなと思うけど、私はそんなこの人が好きなんだから仕方がない。
惚れた方の負けなのだ。
「じゃあ、これからもよろしくね、Aさん」
彼は唇が触れるだけの小さなキスを私に落とした。
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作者名：雪野真哉 | 作成日時：2024年3月26日 0時
