それだけ？【赤】 ページ14
※紅一点設定
楽屋のソファーでうとうとしているとさっくんに話しかけられる。
最近ありがたいことにたくさんのお仕事をいただき、寝る間も惜しんで動き回っているので眠くて仕方がない。
こういう空き時間は私にとって最高の睡眠時間なのだ。
「ねえAってば〜」
「…」
「ねえ〜」
わざわざ隣にきて話しかけてくるのを無視して寝る態勢に入っていると舘様がさっくんと逆の隣に座ってきた。
ちょうどいいので舘様に助けを求めてみる。
もちろん彼はにこにこと笑っているだけなのだが。
「…ねえAってさ。唇柔らかそうだよね」
「え」
「触っていい？」
さっくんが手を伸ばしてくるのでのけ反ってそれを回避する。
さっくんはそれでも触ろうとしてくるので手で口元を隠してみるがまあ力では勝てない。
「ちょ、さっくん」
「…佐久間。もうおしまい」
「はっ！国王のおっしゃるままに！」
舘様が止めてくれたのでさっくんは従者スタイル(？)になり、すぐさま離れてくれた。
「舘様ありがとう」
「…A。ジュース買いたいからついてきて」
舘様の後ろをついて楽屋を出ると舘様は自動販売機がある方とは真逆のほうに歩き始めた。
「舘様そっち違くない？」
「いいから」
舘様はこちらを振り向くこともせず前を歩く。
何かに対して怒っているのか少し声が冷たいように感じた。
人があまり通らない物置みたいになっているところまできて舘様は私の方を向いた。
「舘様私なんかしちゃったかな…ごめんなさい」
「…嫉妬した、から」
「しっと」
「佐久間に唇触られそうになってるの見て、嫉妬した」
「あら」
少し頬を膨らませながらそういう彼に少し萌えてしまった。
私も立派なスノヲタなのだから当たり前だと思う。
「舘様かわいい。ごめんね、気を付けるね」
「…許さない」
「なんでよ」
「…キス、してくれないと許さない」
舘様は私の首の後ろに腕を回した。
少しくすぐったくて肩をすくめてしまう。
「Aはさ、俺のことどう思ってる？」
「大切なメンバーの一人、？」
「それだけ？」
見つめられるとうまく喋ることができなくて。
「舘様、は、？」
質問に質問で返してしまった。
「俺は、好きだよ。人としても、メンバーとしても。それから、」
女性としてもね。
そういって彼は私にキスを落とした。
私は彼の愛をただ受け止めた。
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作者名：雪野真哉 | 作成日時：2024年3月26日 0時
