雪降る街で君とキスする (ページ13)

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二人で倉庫の端っこのほうで座っていつか来るであろう助けを待つことになって、並んで座る。
隣を見ると一緒の座り方をしているはずなのに彼のほうが足が何倍も長く見えて泣きそうになった。

「Aちゃんはさ、好きな人とかいるの？」
「急ですね」
「だって気になったんだもん」
「いやいないですね」
「そっか。じゃあさ、まだ気になる人もいないの？」
「いないですね」
「そっかそっか！」

なぜか嬉しそうににこにこし始めたラウール君。
あ、笑顔かわいいななんてちょっと場違いなことを思ってしまったのはないしょで。

「じゃあさ、僕にもまだチャンスはあるよね？」
「なんのですか？」
「好きになってもらうチャンス！」

そんなこと言われてもなぁ困る。
だって、彼はみんなの人気者で私なんかを好きになるような人ではないはずなのだから。
でも、ほんの少しだけきゅんとしてしまったから私は何も言い返せない。

「Aちゃん」
「はい」

返事をして彼を見ると彼の顔はもうすでに目の前で。
気づけば唇同士が触れていた。

「ごめんね、かわいかったからついしたくなっちゃった」
「…」
「このこと、みんなには内緒ね？二人だけの秘密」

きれいな人差し指を私の唇に押し当て、しーと言って笑うラウール君。
学校で、まだ付き合っていないクラスメイトとキスして。
なんかいけないことをしている気がしてドキドキした。
たぶんドキドキはそれだけのせいじゃないけど。

「ラウール君」
「ん？」
「…これからも仲良くしてください」
「もちろん！毎日話しかけに行くからね！」

彼のまぶしい笑顔に耐えきれなくなって下を向いた。