倉庫【白】 ページ12
もう少しで文化祭。
放課後はみんなで残って文化祭の準備をしてすごく青春してるなって感じ。
まあ私は雑用担当なんだけど。
必要な資材などが一時保管されている倉庫に一人で段ボールを取りに行った。
足りないと言っていたので何もすることがなかった私が手を挙げたのだ。
あいにく仲がいい子はバイトでいなかったし、一緒に行ってくれる人を探すこともしなかった。
倉庫の前にはいくつか資材が転がっていて、どこかのクラスが運びきれなくて置いていったのかななんて思いながら、見た目よりもずっと重たい倉庫の扉を開けると目の前に山積みの段ボールや木材などが広がっていた。
木材なんて使うところあるのか不思議だけど。
とりあえず一番近くにある段ボールの山の一番上から取ろうとするが、雪崩のように落ちてきそうで少し怖い。
「誰か連れてくればよかった…」
「ん？いるじゃん僕」
「え？」
「え？」
その声に後ろを振り向くとクラスでも目立つ存在のラウール君が立っていた。
私が知らないうちに着いてきてくれたのだろうか。
「一緒に運ぶよ。さすがに一人じゃしんどいだろうし」
「ごめんねありがとう」
「Aちゃんだったよね？あってる？」
「あ、はい」
「よかった。ずっとね、話してみたかったんだ。だから今日こうやって話す機会できてうれしい」
まあ雑用のついでなんだけどね、と笑うラウール君。
彼は顔が整っているのはもちろん、スタイルだって抜群にいい。
さらに性格もいいときたもんだから彼はモテるし、友達も普通に多い。
いわゆる一軍。
そんな人にそんなことを言ってもらえるなんて嬉しくて。
「うれしいです。ラウール君って私とは違う次元にいる方だから」
「そんなことないよ。同じクラスにいるもん」
「ん〜そうじゃなくて」
「まあいいや！とりあえずこれ持って！」
渡された段ボールを持つとラウール君はそれの倍くらいの量を持って扉のほうに向かった。
教室に帰るときに何か話すのかな、だとしたら周りの女の子の目が怖いななんて思いながら彼の後ろに立つ。
「…ねえやばいかもしんない」
「なにが？」
「閉じ込められたかもしれない！」
「え、」
「扉が開かない」
さっそくピンチです。
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作者名：雪野真哉 | 作成日時：2024年3月26日 0時
