デート後【紫】 ページ2
1日中デートをして2人で歩く帰り道。
これが私は大好きだ。
「たつくん今日楽しかったねぇ」
「そうね。また行こうね〜」
「え〜ゲーセンでいっぱいぬいぐるみ取るでしょ〜？持って帰るの大変だからやだぁ」
「いいじゃん！お家俺との思い出でいっぱいだよ？」
傍から見たらただのバカップルの会話。
だけど私たちにしてみればこれが普通。
なんなら学生のカップルなんてみんなこんな感じでしょ？なんて。
手を繋ぎながらのろのろと歩いてデートのことを少し振り返って。
なんだかんだこう言うのが1番楽しいよね。
「たつくん」
「ん？」
「…なんかさ、帰りたくないかも」
「え〜何それ誘ってんの〜？」
「うわ〜やっぱ帰る〜」
「何でだよっ！」
駅まであと少し。
たつくんこと辰哉は電車に乗らないので駅でバイバイになる。
寂しいのは寂しいんだけどわがまま言ってられないよね、なんて諦めもある。
それでもちょっと辰哉に甘えるつもりで発した言葉に辰哉は立ち止まってう〜んと考え込んでしまった。
「たつくん、ほら、駅行こ。もう電車の時間近いし」
「そうだね。でも帰りたくないんでしょ？」
「…まあね？でも仕方ないよ」
「そ？じゃあ行こっか」
私の手を引いて少し先を歩く辰哉。
俺ももっと一緒にいたい！とか言ってくれるかな〜とか思ってたんだけどまあこんなもんだよね。
私も半分くらい諦めに似た感情を抱えてそのまま歩いた。
ふと辰哉が立ち止まって私の方を振り向く。
「なあに？」
「これは俺のわがままなんだけどいいですか！」
「なにが？」
「まあまあ」
そういうと、何の準備もしていなかった私の両頬に手を添えて顔を近づけて唇を重ねてきた辰哉。
驚いてフリーズしていると辰哉がふは、と笑って頭を撫でた。
「じゃ、帰ろっか」
「ひっ、人前でなんてハレンチな…」
「キスくらいでなぁに赤くなってんの。かぁいいね？」
ニコニコとしながら私を送り届けて帰っていった。
電車に揺られながらさっきのことを思い出して顔が赤くなるのがわかった。
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作者名：雪野真哉 | 作成日時：2024年3月26日 0時
