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「お先失礼します」
定時になって私はすぐに帰った。
今日は仕事の量も少なかったし仕事上の大きなトラブルだってなかった。
だから佐伯さんに声をかけられる前にさっさと帰ってしまいたかったのだ。
「あ、A…」
会社を出てすぐ、昨日と同じところに彼は居た。朝の宣言通りに。
ああすっかり忘れていた。厄介なことは立て続けに起こるから困るしどうしたらいいかわからず戸惑う。
「あのさ、ちゃんと話そう」
「嫌。もう話しかけてこないで」
「ねえお願い。ちょっとだけ」
「…私たちはもう他人のはずよ、渡辺さん」
「A、」
泣きそうな顔で私を見る彼にチラリと視線を送ったもののこちらとしては面倒事はとにかく避けたい。
だから申し訳ないけど無視させてもらう。
仮にも彼は他に彼女がいるはずなのになぜ元カノに接近したがるのだろうか。
普通そんなことはしないものだと思うのだが彼の中ではその認識は違うのだろうか。
「ねえA、お願いちょっと待って」
無視したのにそれでもついてくる翔太に私はイライラしていた。
本当に面倒くさい。
そっちの都合で別れたのに今更私にすり寄ってきて、私がまだ彼を好きだと思っているのだろうか。
…あながち間違いではないけど。
「Aっ！」
急に手を掴まれて私はもう我慢の限界を迎えてしまった。
「触んないでよ！あんたから私をフったくせに！何が話をよ！聞く理由も価値もないじゃない！時間が勿体無いわ！お願いだからもう私に話しかけないで！もう顔も見たくない！」
そう一方的に言い捨て家までの道を走った。
パンプスで走りにくくて、途中でパンプスを乱暴に脱いで手に持って、ストッキングのまま走った。
翔太が追いかけてきているかもしれない。そう思うとどうしても走るのをやめれなかった。
多分周りからはすごい目で見られていた。でも、止められなかった。
気づいたら大介の店の近くまで来ていて、もう大介は帰ってるだろうけど無性に今すぐ彼に会いたくてお店のドアを押してみた。
———開いた。いつもなら絶対に閉まっているのに。
「やっぱり来た。おかえりA」
「大介…」
大介は私が入ってきたのを見てわかっていたよ、と言いたげな顔で両手を広げた。
私は、走って体中が痛いとか、そういうのを頭の隅に追いやって彼の腕の中に倒れ込むように飛び込んで泣いた。
大介は私が泣き止むまでずっと黙って頭を撫でているだけだった。
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雪野真哉(プロフ) - ずっきーにさん» 初めまして〜！ちょっと他の方とは違った話で楽しんでいただきたいと思ってるのでそう言っていただけて嬉しいです♡ (3月9日 15時) (
レス) id: 783aafc6fa (このIDを非表示/違反報告)
ずっきーに(プロフ) - はじめまして！漫画から出てくるという他にない設定で面白いです！引き続き更新楽しみにしてますー！ (3月9日 14時) (レス) id: 386b7f6774 (このIDを非表示/違反報告)
雪野真哉(プロフ) - あたりんさん» ありがとうございます♡読みにくいとは思いますがこれからもどうぞよろしくお願いします！ (3月9日 12時) (レス) id: 783aafc6fa (このIDを非表示/違反報告)
あたりん(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです！！続きが気になります！試験頑張ってください！！ (3月9日 11時) (レス) id: 8619ea3777 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪野真哉 | 作成日時：2024年3月5日 18時
