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「どうしたの?」
「少し静かにしとけィ。」
ん?と云いながら入り口を見る治と俺。
「嗚呼、あの二人。」
「手首に巻いた青いバンド。羊の構成員やな。」
「何か不味い事でも?」
「連中と会っていい状況じゃねえだろ。」
なんか嫌な予感。
「おーい、中原中也君。仕事に行くよ。
「莫迦か手前っ!黙ってろコラ!」
治の方を見るとべーっと舌を出していた。
明らかに意地悪やな。
「全く、何しとんねん。」
まあ、そんな俺もウカウカしてられへんか。
元羊の構成員やし。
俺もパーカーのフードを深く被る。
中也の声を聞いてか、入り口に居た羊の構成員が此方へ来る。
名前は確か、白髮が白瀬で桃色髪が柚杏やったっけ。
「中也、やっと見つけた。探したぞ。」
「お、おう。無事だったか。」
「晶や省吾達がポートマフィアに攫われた。早く奴らの
「心配すんな。其の件は対処中だ。」
治や俺と会話してる時とは違う、大人びた声でそう云う中也。
正直違和感が半端ない。
「対処中?」
「そう、対処中。」
そう云った治を羊の二人が見る。
俺は顔を見られないようにする。
「其れより君達が調べた荒覇吐の噂について教えてよ。何か判った?」
妙に好意的な声でそう云う治も違和感半端ない。
「誰だ?此奴。」
「入団希望者?」
「まあ、そんなとこだ。悪いが、此奴の質問に答えてやってくれ。頼むよ。」
不思議そうにまあ良いけど、と云う白瀬。
「俺達が調べた限りで云うと、黒炎や先代を見たって云う噂は此処一週間で爆発的に増えてる。」
「確認出来る、一番古い噂は?」
「多分8年前だ。大戦末期、擂鉢街を作ったあの巨大爆発。荒覇吐が実際に出した被害は此れ以前には無い。」
「やはりそう云う事か。」
「此奴、ホントに羊の新入り?」
疑問そうに柚杏がそう云う。
「そんな事より仲間の奪還計画を立てようぜ。攫われたのは川向こうの工場通りだ。」
「ちょっと待て。川向こうに行ったのか。」
少し怒ったような中也の声。
「又酒を盗みに行ったのかよ。あんなポートマフィアの拠点の近くに。抗争の真っ最中だろ、誘拐してくれって云ってるようなもんじゃねえか!」
「怒鳴らないでよ。」
「防衛主義の掟は守ってるだろ。其れに良い機会じゃねえか。羊に手を出せば100倍返し、だろ。」
ポートマフィアに100倍返しは無理やろ。
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ゆき(プロフ) - 作者ですっ!微妙に題名?この作品の名前変えます! (2021年9月11日 23時) (レス) id: c2037b5d01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2021年8月16日 12時