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「寒い。風通しが良くなって3倍寒い。」
震えた声でそう云う蘭堂さん。
「災難やったね、蘭堂さん。」
『願う者』でストーブと温かいスープを出す。
「酷い目にあった。何故私が。嗚呼、有難うA君。」
どう致しまして、と云い蘭堂さんから離れる。
「襲われた理由は凡そ想像が付くよ。」
「「噂の拡張だ/や。」」
治と俺の声が被る。
「森派の蘭堂さんが黒い爆発で死んだとなれば人々は先代の怒りを寄り強く実感するだろう。」
治が中也の方を見る。
「此処に来た時彼がぶちのめしたGSSの兵士が黒い爆発を偽装する為の手順書を持ってた。」
「黒い爆発とは。」
あ〜、蘭堂さんも良い声やなあ。
長い話は聞きたく無いから、蘭堂さんの周りにある本を勝手に読む。
蘭堂さんは震えて、近くの本を暖炉に入れる。
「あ、勿体無い。」
つい、そう云う。
「大丈夫さ。本は何時でも買える。」
「そっか。」
そりゃそうか。確か蘭堂さんは準幹部やったはずやから金はいっぱい持ってるやろうしな。
まあ、俺には敵わんけど。
てか逆に俺より金持ってるやつ居ったら見てみたい。
あーポートマフィアって収入良い気がするんよなあ。
金、溜まってく一方やん。何に使お。
「蘭堂さんが擂鉢街で目撃した、荒覇吐について教えて欲しい。先代復活の噂に繋がる情報は今の処其れしか無いから。」
「嗚呼、良く覚えて居るとも。」
そう云う蘭堂さんの頬に、汗が伝う。
「忘れるものか。・・・私だけが生き残った。だが周囲の部下は尽く燃えてしまった。あの黒い炎に飲み込まれてしまった。あれは本当に荒神だった。」
「「面白くなってきた。」」
俺と治の声が又被る。
「詳しく話してよ。」
「あれは擂鉢街のほぼ中心地での出来事であった。我々ポートマフィアが羊の武装した少年達との抗争に向かう途中であった。」
「其処でいきなり、黒い爆発に我々全員が吹き飛ばされた。」
「蘭堂さん、大丈夫?」
「大丈夫だよ。」
そう云うと少し間を開けて、蘭堂さんは口を開く。
「いきなりの爆風。私は自分自身を異能で守ることしか出来なかった。」
「黒い炎。瓦解する大地。あれは地獄であった。」
「そして其の中心に其奴は居た。其れは先代の首領(ボス)等では無かった。厭、抑々其奴は人間ですら無かった。」
「獣・・・。黒き炎の獣。一対の瞳すらも煉獄から吹き出したかのような炎であった。」
中也は此の話をどんな心情で聞いとるんやろな。
ふと、気になった。
中也の顔を見るが、判らなかった。

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ゆき(プロフ) - 作者ですっ!微妙に題名?この作品の名前変えます! (2021年9月11日 23時) (レス) id: c2037b5d01 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆき | 作成日時:2021年8月16日 12時

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