１８０話目 ページ48
「え」
反射的に振り向くが、そこにはガブニャン以外誰もいない。ガブニャンも頭に疑問符の浮くような顔をしている。
「あ、あの、誰って、誰もいないんですけど」
「いいえ、ちゃんといるわ。まるで吸血鬼みたいな青い猫が」
「それって…」
まさか、とは思っていたけれど…ガブニャンが、妖怪が見えている？でも麗日さんはガブニャンが分かっているようには見えない。
ただの付き添いだから？そもそも蛙吹さんは何故…口田みたいに動物的な何かが関連しているからとか？蛙っちゃあまあ蛙だけども…そうだとして今？このタイミングで私に？
尽きない疑問とどんな反応を返せば良いか分からず言葉に詰まっていると、蛙吹さんは暗い顔で私に言葉を投げ掛けてきた…あまりにも、私には辛いものだった。
「私ね、昔からおかしなものがぼんやりとだけど分かるの。今まではお互い無関係でいたからなんともなかったし、そうするべきだと自然に思っていたわ」
「光ちゃんも分かるって気付いて…これまで何度も話そうと思ったけど、その度に避けられてしまって悲しかった」
「そうじゃなくてもいつも隠れてしまうけど、光ちゃんは皆が怖いの？」
違う。
「さっきお茶子ちゃんの話を聞いて驚いたわ…光ちゃんはその子達、連れてきていたのね」
「その子達？猫以外にもいるの？」
「時々光ちゃんの後ろに浮いていたわ。明らかに私達を警戒していた…光ちゃんにとって誰にも見えない存在の方が私達よりも大事だったの？」
違う。必死に否定しようと紡ぐ音は思ったよりもずっと弱々しい。
「そんな…確かに私は元から人見知りで、話しかけるのが苦手です。でも、そんなつもりは…」
「ごめんなさい。私も責めるつもりはないの。だけど、皆が仲良くしたいと思っても光ちゃん自身が一番それを避けてしまっているの」
「その理由が私にはその子達…妖怪にあるとしか思えないわ」
違う。そんな訳がない。でも、なら、その理由は、原因は…誰のせいなのか。
今こうして言われるまで蛙吹さんがそう思っていたなんて知らなかった。当然だ、今の今まで碌に話していなかったんだから。
思えば確かに私に話しかけようとしていたかもしれない。ただ私が勝手に避けていなければ…妖怪にばかり構わなければ…あれ？
「私の、せい？」
考えれば考える程、どこかに沈むような感覚に陥る。
「ち、違う…そんな…私が…私の、せいで……？」
突如、目の前が真っ暗になった。
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小鳥遊(プロフ) - 美都羽さん» コメントありがとうございます！烏滸がましくなんてないですよ。嬉しいです！ (2019年8月6日 21時) (
レス) id: c2ef6956a3 (このIDを非表示/違反報告)
美都羽(プロフ) - 小鳥遊様のこのシリーズがすごく好きです。こんなことを言うのも烏滸がましいですがこれからも頑張ってください (2019年8月6日 21時) (レス) id: a619d2c6e4 (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊(プロフ) - 笹さん» レス遅れてすみません。確かに火なら水属性の方が良かったかもしれません。書いた時は気がつきませんでした…遅れながらアドバイスありがとうございます。 (2019年8月5日 1時) (レス) id: c2ef6956a3 (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊(プロフ) - 甘納豆さん» コメントありがとうございます！ずっと更新停止ですみません……そう言っていただけて嬉しいです！頑張ります！ (2019年8月3日 21時) (レス) id: c2ef6956a3 (このIDを非表示/違反報告)
甘納豆(プロフ) - 続き気になります！自分のペースで更新頑張ってください！楽しみに待ってます！！ (2019年8月3日 21時) (レス) id: a4b65807ec (このIDを非表示/違反報告)
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