56振り ページ9
それから自分は彼に縁談破棄の理由を説明した
だが、彼からは特に反応が無かった
反応がないことに自分は半ば諦めがついてきたとき、
彼が初めて言葉を発した
「お前………あいつと仲悪いんじゃなかったのか？」
彼が言った言葉は縁談破棄の了承でも無く、自分と泉の仲を聞いてきた
『………まぁ、仲が良いとは言えないな』
「じゃあ、なんでそこまでしてあいつと俺の縁談を守ろうとするんだ？」
そう彼は聞いた
自分は一度も泉との婚約を継続させろとは言ってない
けれど彼は自分の縁談破棄の理由が泉の為の理由に聞こえたのだろう
『……仲は悪いがあいつは自分の妹だ。妹を護るのが姉の役目だろ？』
泉の為にと聞こえたのならばそれで良い
妹の為だと言えば彼も分かってくれるだろう
そう思ったのだが、
「………そんな怪我させられても守りてーって思うのか？」
彼は自分の頬にある絆創膏を指して言った
『これは……別に大した怪我じゃない。それにこれは体育祭での怪我だ』
「お前、体育祭でそんなところ怪我してなかったよな？」
『…………ッ！』
体育祭の怪我じゃないと気づかれて身体が固まる
『………見間違えたんじゃないのか？』
「いや、見間違いじゃねぇ。体育祭の時にそんな絆創膏つけて無かった。それによく見りゃあ所々怪我してるよな？」
『…………………』
髪や着物で隠しているとはいえ、手や首には包帯が見えていた
「それ、あいつにやられたんじゃ────」
『違う！！！』
つい大きな声を上げてしまった
『これは私が受けた罰だ。泉は関係無い！！生贄の私が父の言いつけを破ったからこうなったんだ…！！！』
「A落ち着いて」
小夜が自分を止めに入った
声を荒げたせいで息が荒くなる
息が落ち着いた時、自分が余計なことを言ってしまったことに気づいた
『あ………』
彼は目を丸くしてこちらを見ていた
そして息が少し荒い自分を見て聞いてきた
「おい……生贄ってどういうことだよ」
彼は真剣な眼差しでこちらを見る
それに対する自分は焦りを感じていた
どうこの場を切り抜けよう……
気持ちが興奮して口を滑らしてしまった
このままでは縁談を破棄してもらうのは難しい
どうしようどうしよう……
迷っていたその時
「A、あいつが戻って来た」
後ろにいる小夜がそう言った
『……分かった戻って小夜』
小夜が消えると同時にスパンと障子が開いた
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アカヤ - 続編やったー！ありがとうございます！これからも応援してます！！ (2019年4月3日 17時) (
レス) id: ba5e1e3f04 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - 続編おめでとうございます！主人公さんがどうなるか、今からとても楽しみです。また遊びに来させて頂きます。 (2019年4月2日 21時) (レス) id: 680cc78f50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪燐 | 作成日時：2019年3月22日 8時
