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家出って人生に1回はしてみたくなるよね ページ41

『総悟、そっちはどうだった?』
「誰1人いやせんでしたぜ」
『そっか……やっぱり家出って中々見つからないものだね……』

そんなことを話しながらえりと沖田は街を巡回していた。

と、ちょうど進行方向の先の自動販売機で飲み物を買う土方を見つけ、えりは声をかけようとしたが、その前に土方の独り言を聞いていた沖田が刀を抜き忍び寄った。

『ちょっ、総』
「そんなに暑いなら夏服作ってあげますぜ、土方さん」
「うおおおおおおおお!?!?!?」
「危ねーな。動かないでくだせぇ。怪我しますぜ」
「危ねーのはてめーそのものだろーが!!何しやがんだてめー!!!」
『土方さん!大丈夫ですか!?』

土方目掛け刀を振り下ろすが間一髪で避けた土方が沖田に向かって叫ぶとえりが駆け寄り土方を助け起こした。

『総悟!!街中の執刀は緊急事以外禁止、私戦は尚更』
「えりまで土方さんの味方ですかぃ?」
『私は元々真選組の味方で、ってそうじゃなくて、普通に危ないよ。
土方さんの運動能力は避け切れるの知ってるけど、一般人に当たったらそれこそ取り返しがつかない事に…
もしそれで何かあって総悟と仕事が出来なくなるのは私が嫌だから…。』
「……次から土方さんの前だけにしまさぁ」
「おかしくね?今の流れ俺の前でもなしって話になるよねおかしくね?」
『…土方さん、総悟の土方さんいじり?は多分愛故なので、ほんとに危険になったら止めますから。』
「……………えり、お前だんだん総悟に染まってきたな……」
『え?』

不思議そうに首を傾げるえりの頭をわしゃわしゃと撫でると刀を鞘にしまったはずの沖田がまたぬこうとしており、土方はパッと頭から手を離した。

「実は今、俺が提案した夏服を売り込み中でしてね。土方さんもどうですか、ロッカーになれますぜ。」
「誰が着るかァ!!明らかに悪ふざけが生み出した産物じゃねーか!!」
「おーう、どーだ、調査の方は?」

そこに沖田提案の夏服を着た近藤が現れ、土方は思わず黙った。

『すみません、まだ見つかってなくて…』
「すいやせん、近藤さん。」
「気にすんな、総悟、えり。
潜伏したテロリスト探すならお手のモンだが、探し人がアレじゃあ、勝手がわからん。」

土方はそよ姫の写真を取り出し、ため息混じりに話を続けた。

「お姫さんが何を思って家出なんざしたんだか…
人間、立場が変わりゃ悩みも変わるってもんだ。
俺にゃ姫さんの悩みなんて想像もつかんよ。」
『…なんだか寂しそうな顔をしていますね、この写真のそよ姫様…』

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作者名:Tyina | 作成日時:2022年5月29日 23時

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