真選組の幽霊騒動 ページ33
「松田隊長!!お疲れ様です!!」
『お疲れ様、みんなこれからどこか行くの?』
「いえ、これからみんなで集まって怪談噺するんですよ、松田隊長も良かったらどうですか?」
『私は書類関連のことでやっておきたいことあるから、遠慮しとくね。』
「ですよね……」
えりは自室に戻ると明かりをつけ、筆を手に取りやっておきたいところまで筆を進めた。
ふと時計を見るとすっかり夜も深けており、ひとまずここまでにしようと筆を片して寝る準備をしていた。
「死ねよ〜……土方〜……頼むから死んでくれよぉ〜」
『?』
からりと戸を開け、外に出ると土方も戸を開けており、視線の先には白い着物を着て頭に蝋燭のいかにも呪います風のかっこうをしている沖田がいた。
『なにしてるの?』
「お、えり、聞いてくだせぇ、土方のヤローが」
「えり、お前からも言ってやってくれ、こいつ人のこと呪おうとしやがった」
「自意識過剰な土方さん、勘違いでさァ」
『総悟……
そもそも丑三つ時にならないと呪いってあんまり強くならないんだって。
あと神社とかなんかそういう力強いところの方が呪いやすいらしいって、前に読んだ本に書いてあったよ。』←
「おお、なるほど」
「おお、なるほどじゃねぇーんだよ!!
えり、俺は総悟を止めろっていう意味で言えって言ったんだよ!!加速させんじゃねぇ!!
大体なぁ……
……!」
『?』
まさかのえりの発言に思わずそういった土方だが不意に言葉を止めてえり達と反対方向を見ていた。
「どうしたんだィ、土方さん」
「総悟、えり、今あそこになにか見えなかったか?」
「いいえ、何も…」
『なにかいたんですか…?』
「(確かに今……)」
「ぎゃああああああ!!!!」
「「『!!』」」
「ひでーなオイこれで何人目だ?」
「えーと、18人目でさァ」
土方も沖田も寝込む隊士達を見てそう話をしていた。
えりは自分の隊の隊士達に氷枕などを作るよう指示を出し忙しそうに動き回っていた。
「隊士の半分以上がやられちまったわけですね。
さすがにここまで来ると薄気味ワリーや。
えりん所の隊が全滅してねぇのが不幸中の幸いでさァ。」
「冗談じゃねーぞ、天下の真選組が幽霊にやられてみんな寝込んじまったなんて、恥ずかしくてどこにも口外できんよ。情けねェ……」
「トシ……
俺は違うぞ!!マヨネーズにやられた!!」
「余計言えるか」
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作者名：Tyina | 作成日時：2022年5月29日 23時
