【銀魂】キオクノカケラ (ページ29)

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それから数刻がすぎ、副長への嫌がらせも飽きたのか、ふて寝をしている沖田隊長を視界の端に副長に渡された書類を書いていると、不意に入口の方が騒がしくなり、沖田隊長も不機嫌そうにアイマスクを上げた。

「……!!」
『総悟、ただいま。ほんとにごめんね、誕生日なのに朝からいれなくて…』
「気にしねぇでくだせえ。おかえり、えり、近藤さん。」
「とっつぁんが総悟の誕生日だからって予定よりも早く帰してくれてな!

どうしたトシ?」
「…………」

沖田隊長に嫌がらせ(という名の八つ当たり)をされていた副長はげっそりとした表情で煙草を吸っていた。

「そんじゃ改めて……」
「「「「「『沖田隊長/総悟、誕生日おめでとう/ございます!!!!』」」」」」

パァン!!とクラッカーが隊長に向けられ、その真ん中にいる沖田隊長は少し肩を竦めて笑っていた。

沖田隊長のリクエストの料理が並び、乾杯の音頭をとるとあっという間に騒がしくなった。

一般隊士がプレゼントを送り、松田隊長が前日から仕込んでいたミルクレープのケーキは毎度の如く、沖田隊長の胃袋へと消え、松田公から貰った酒瓶をあけ、酔った局長がふんどしを残し全裸になったりし、不意に辺りを見回すと酔いつぶれた隊士が転がっていた。

俺自身も酔い醒ましのために外に出ると、不意に話し声が聞こえ、気になりそちらに向かうとそこに居たのはいつの間にか姿を消していた沖田隊長と松田隊長だった。

松田隊長がリボンの着いた箱ー恐らく誕プレを渡しそれを沖田隊長は受け取っていた。

そして、二、三言、2人で何か話して笑った。

「(あ……)」

年相応の笑顔で楽しそうにしている二人を見て、そういえば二人はまだ成人すらしていないと思い出した。

「……(沖田隊長、早く松田隊長とくっついてくださいよ。あんたら、はたから見たら立派なカップルに見えるんですから。)」

夏空の下、楽しげに話す二人からそっと離れ、どんちゃん騒ぎとなっている会場へと戻った。

それから数日がすぎた討ち入りの際、沖田隊長が持っていた懐中時計が新品でその裏に7/8〜S.O HB〜と刻まれており、それを持つ沖田隊長が大切そうにしまうのを見かけた。