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『こんにちは、』
「あら、えりちゃんじゃない、来たってことはいつもの?」
『はい、お願いします。』
万事屋の帰り道、えりは書類整理に追い込まれているであろう土方達(サボっていなければ沖田も)への土産として団子を買って帰ろうと、真選組がよく利用する甘味処に向かった。
焼かれる団子を待つために縁台に腰掛け、サービスで出されたお茶を啜ると……
「銀さん、この前は助かったよ。」
「おー。またなんか依頼あったら是非とも万事屋に。」
『!』
意にえりより少し離れたところに座る天然パーマ姿の男ー銀時が見え、えりは話が終わったタイミングで銀時に近寄り隣に座った。
『こんにちは、万事屋さん。』
「うお!?」
音もなく隣に座られ、声をかけられた銀時は相当びっくりしたらしく、ギョッとしたようにえりのことを見た。
『やっぱり、万事屋の社長さんですね。名前は…坂田銀時さん、でしたよね?』
「お前は……真選組の……」
『真選組零番隊隊長、松田えりと申します。』
ニコッと笑いそう言ったえりを見て、銀時はこの前よりも目を見開き、固まっていた。
「……………じゃ……か…(ボソ)」
『銀時さん?』
「(ハッ)あ、ああ。
てか、銀時さんって……」
『銀ちゃんや銀さんと呼ばれてましたので、下の名前の方がいいかと思いまして。
あ、坂田さんのほうが良かったですか?』
「いや、いーよ銀さんで。」
『銀時さん、池田屋だけでなく、先日は土方さ…副長たちが本当に失礼しました……』
「あー、あれね。うん。気にしないでいいよ。銀さん優しいから。別に斬られたところめっっっちゃ痛かったわけじゃないし。」←
『……慰謝料を』
「冗談だから!!本気にすんないつか騙されんぞ!!」
やっと落ち着いたのか銀時は団子を口に入れ、何か考えるようにしていたが、団子を飲み込むとえりに聞いた。
「なぁ、お前、えりって言ったか?」
『はい、』
「漢字は?」
『いえ、えりはひらがなです。』
「……そうか。」
『なにか……?』
「…個人的な質問だから気にすんな。真選組零番隊隊長様。」
『えりと呼んでください。一応、真選組内では松田ですが、あまりそう呼ばれるの慣れてなくて…』
「慣れてない?」
『…あー、…その、話すと複雑になるんですが…』
怪訝そうな顔をした銀時にえりは苦笑して銀時に少し声を小さくしつつも話すことにした。
『実は……8歳になる前までの記憶が全部なくなってるんです。』
「!?」
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作者名:Tyina | 作成日時:2022年5月29日 23時