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『え、斬るんですか!?』
「あァ、斬る」
「件の白髪の侍ですかィ」
市中見廻りの際に、隊員たちが貼り付けた町中にはられている近藤を倒した白髪の侍に向けたビラを剥がしつつえりと土方と沖田はそんな話をしていた。
『でも、それが一般市民だったら……』
「近藤さんをセコい手を使ったが倒したヤローだ。ただもんじゃねぇよ。
それにな
でけーことになる前に俺で始末する。」
『土方さん……』
「土方さんは二言目には斬るで困りまさァ。
古来暗殺で大事を成した人はいませんぜ。」
「暗殺じゃねぇ、堂々と言って斬ってくる。」
『けど、白髪の侍ってだけで見つかりますかね……?』
「そこまでせんとも、適当に白髪頭の侍見繕って連れて帰りゃ隊士達も納得しますぜ。」
沖田はそう言ってえりにビラのゴミが入っているバケツをえりに預けると近くを通った男を捕まえ土方にみせた。
「これなんてどーです?ホラ、ちゃんと木刀持ちな。」
「ジーさん、その木刀でそいつの頭かち割ってくれ。」
「パッと見さえないですが、メガネをとったらほら
武蔵じゃん。」
「何その無駄なかっこよさ!!」
『んふっ』
唐突にメガネの下から現れた武蔵顔にえりは吹き出したものの、ごほんっと気を取り直すと沖田に言った。
『けど剣術に長けてる隊士達は納得はできないんじゃないかな?木刀で倒したんでしょ?ならとても腕のある人だと私は思う。それに、そもそも関係の無い人を巻き込むのはよくないよ。』
「……えりの言うことも一理ある。諦めろ総悟。」
えりに言われ、通りすがりの男と手を振って別れると先程の話に戻った。
「マジでやる気ですかィ?白髪って情報しかこっちにはないってのに。」
「近藤さん負かすからにはただもんじゃねェ。見ればすぐにわかるさ。」
『もっと情報が欲しかったですね…近藤さん……せめて名前ぐらいは…。」
「それは思った。」
「そういや、えり。髪紐どうした?」
『見廻りだから。それに何かあってもこのまま戦えるし大丈夫かなって。』
そんな会話をしながら、歩いていた時だった。
「おーい、兄ちゃん危ないよ」
その声と共に土方の上から木材が落下してきた。
「うぉわァァァァ!!!!!!」
間一髪で避けたのをえり共に後ろで見ていた沖田は舌打ちをしていた。
「(あたりゃ面白かったのに……)」
『総悟……
土方さん、大丈夫ですか?』
「ま、まぁな……」
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作者名:Tyina | 作成日時:2022年5月29日 23時