安倍晴明の血を引き継ぐ者 2

＊ ページ5

『お父様、甚爾さん。』
「耀哉様。ようこそいらっしゃいました。」
「御出迎えありがとう。傑、A。

夜蛾学長殿と楽巌寺学長殿、毎年のことながらお招きいただき、感謝いたします。」

穏やかな笑顔とともにそういう耀哉の後ろで甚爾が待機していた。

「Aがここにいるってことは、今年は見学なのかな?」
『はい。お父様に戦う姿を見せられないのは残念ですけど……』
「そっか。けど、来年は出られるはずだから楽しみを取っておくよ。」

くすくす、と笑みをこぼす安倍川親子を見ている夏油たちが真っ先に思ったのは笑顔が似すぎていることだった。

やがて耀哉が夜蛾学長と楽巌寺学長と話し出すと、Aは後ろにいる甚爾に声をかけた。

『甚爾さん、お久しぶりです。』
「おお。久しぶりだな。」
『甚爾さん、甚爾さんが気にかけてる生徒っていたりしますか?』
「あー、候補的には真希。」
『"禪院家大嫌い同盟"があるからですか?』
「それも一理ある。けどあいつの身体能力的にもずば抜けているし呪具の扱いも悪くねぇ。
恵はまだ玉犬に頼ってるところがあるからノーカウント。」
「(恵がいたら喧嘩勃発してたかな?)」

"禪院家大嫌い同盟"というのは、真希と甚爾が去年、初めて会った時にお互いの境遇を話し、意気投合した所から始まり、「今の禪院をぶっ飛ばして全部変えちゃいましょう。」みたいな感じで作られた真希と甚爾の同盟であり、サポートには珍しく五条が入っている。(五条曰く、嫌がらせのためだそう。)

ちなみに、加盟人は今のところ真希、甚爾とかつて禪院家で虐められていた安倍川の使用人数名である。

「A、甚爾、傑。行こうか?」

耀哉が学長と話終わったため、全員でモニタールームに向かうことになった。












「耀哉様、お久しぶりです。」
「久しぶり。悟。歌姫も元気そうで何よりだよ。」
「お久しぶりでございます。気にかけていただき大変光栄でございます。」
「学生の時のようにでいいんだよ。歌姫。」
「……ありがとうございます。」
「そーそ。固くなりすぎなんだよー歌姫はさ。」
「五条はゆるすぎなのよ!!」
「ｱﾊﾊ……」

モニタールームに着き、耀哉が五条達と話していると、チキチキ呪霊討伐レースが始まる時刻の正午となった。

耀哉が1番画面を見やすいところに座ると、五条が開始のアナウンスをかけるためにマイクを取った。

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す