安倍晴明の血を引き継ぐ者 2

番外編 15 ページ35

「恵が成長したなって思ったんだよ。
昔だったら、何度もAは大丈夫なのかって泣きそうに私達にひっきりなしに聞いていたのを思い出してね。」
「…昔は、Aについて、知らなかった方が多くて、全然守れてやれてませんでしたしね。」
「それは違うよ。」

そういった伏黒に夏油は否定した。

「あの頃から既に、恵はAを守ってあげていたよ。
呪霊が普通の呪術師よりも何倍も強く見えてしまうAの手を引いて呪霊を追い払ったり、外に怯えるAを守って、今こうやって1人でも大丈夫なようになったのは恵のおかげだって言っていたよ。
あの時(･･･)だって、恵が早く気がついてくれたおかげですぐにAを助け出せた。
守ってあげられてない、なんてことは無いんだよ。」
「!!」

夏油にそう言われ、伏黒は顔を上げ、安心したように眠っているAを見て少し泣きそうな表情になったが、きっと顔を引きしめ、夏油に言った。

「夏油先生、高専戻ったら体術と呪具の扱いをもっと教えてください。」
「君にはもっともな適任者がそばにいるけどいいのかい?」
「……親父は、認めたくないですけど、体術と呪具の扱いは俺の知っている限り…いや、呪術界で誰よりも上手い。
だから、何年も教えて貰ってた夏油先生に聞きたい。
あとアイツにすっげぇニヤケ顔で教えられても身に入らない」←
「恵、反抗期とはいえ、さすがにあのゴリラも聞いたら泣くんじゃないかい、」
「反抗期じゃないです。」
『んん……』
「!!」
『……恵?…夏油先生?』
「起こしてしまったかい?」
『……(ﾌﾙﾌﾙ)』
「体調はどうだ?なんか食えるか?」
『……まだ、ちょっとだるいし…体が重い…少しだったら…食べれるかも…』

目を覚ましたAの熱を測ると、37、4度まで下がっており、自力でポ○リを飲めるようになっていた。

伏黒は先程五条が買ってきたゼリーを取ってくると、蓋を開けてAに渡した。

「食えるか?」
『(ﾑｸﾞﾑｸﾞ…)…ん…』
「なら良かった…｡」
「この様子だったら夜のうちに熱は下がってるかな。」

Aは小さ目のカップゼリーをどうにか食べきり、もう眠くないらしく、身体を横にならせたまま伏黒と夏油と話を交わしていた。

「夕飯、紫苑様から煮込みうどんの作り方教えて貰ってるから美々子達が作るって張り切ってたけど食べられそうかい?」
『少しだったら、食べられそうです。』
「恵は?」
「俺もAとここで食べます。」
「わかったよ。」

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