安倍晴明の血を引き継ぐ者 2

番外編 4 ページ21

『先生…!』
「……!!まさか…Aと恵、ですか?」
『お久しぶりです。時野幻夢先生。お元気でしたか?』
「ええ。僕は元気でしたよ。2人とも、すっかり大きくなられまして……」

Aと伏黒が先生と呼んだ青年ー時野幻夢は目を細め、Aと伏黒の頭に手を置いた。

時野は、訳あって小学校に通うことが出来なかったAが中学に上がるまで、通常授業や呪術界の歴史や文学、さらに剣術を教えていたA専属の教師であった。

伏黒とも面識があり、伏黒にも勉強や剣術を軽くを教えていた事もあり、伏黒が尊敬できる数少ない人物でもあったが、Aが中学に上がった時、時野は「呪術界を引退する」と言って辞め、現在は隠居生活のような事をしている。

最後にあったのは3年前、呪術界から引退する際、耀哉に挨拶に来た時以来だった。

『こちらに住んでいたんですか?』
「いえ、本拠は群馬の方です。今は缶詰で別荘に泊まってます。」
「缶詰って、小説家にでもなったんですか?」
「ええ、そうですよ。」
「…まじですか?」
「まじです。」
『じゃあ、本当に時野先生ですね。』

そういうと、時野は書生服の裾で口元を隠しくすくすと笑っていた。

近くにある開かれたトランクケースには、小説家の道具が心狭しと入れられており、時野はそれを閉じると、近くの防波堤の所に座った。

Aと伏黒もその隣に座ると、3人は互いの近況に着いて話し出した。

A達は呪術師になったこと、高専に入ったこと、今日は交流会のご褒美という名の休暇でここに来ていることを話し、時野は呪術界を引退したあと小説家になった理由、どんな本を書いているか、そして本拠地の周りの景色について話していた。

積もる話が多く、時間を忘れて話していたが伏黒へ送られてきた五条達からの連絡が来たことをきっかけにお互い、泊まっている所に戻ろうと話を切り上げた。

「これ、僕の連絡先です。なにかあったらいつでも連絡してください。久しぶりにあえて嬉しかったです。作品もいいのが思いつきましたので捗りそうですよ。」
「ありがとうございます。」
『先生の本、今度読んでみますね。』

時野はトランクケースを持ち、Aたちを見送るとが泊まっている所とは反対方向へと去っていった。


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時野幻夢

耀哉の元同級生で3年前に呪術界をやめ、小説家に転職した。超美形男子で41になるはずだがめっちゃ若々しい。ビジュイメージはヒプ○イの夢○幻太郎。

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