【江戸川乱歩】初恋は僕の助手。【文スト】

第46話 乱歩さんに知られたくない事。 ページ47

『･･･敦君に悪い事しちゃったなあ･･･。後で、お茶漬けを奢ってあげよう･･･』


とぼとぼと歩いていると、路地裏から微かに音が聞こえた。
･･･若しかして、銃声？


『･･･行ってみよう、誰かが怪我してるかも･･･』


周りに気づかれないよう、静かに路地裏に入る。

･･･微かに感じる、鉄のような臭い･･･。
これは、血の、臭い･･･？


『あ･･･』


そこにいた･･･。
否、あったのは、血を流した“何か”だった。


『･･･一体、誰が』


其れに手を伸ばそうとすると、誰かに腕を掴まれた。


『だ、誰！？』


いや、誰かなんて分かっていた。

･･･見覚えのある黒い手袋。
これは･･･この手袋は･･･。





『･･･中也、さん』

中原「久しぶりだなァ、A。･･･いや、元ポートマフィア幹部補佐、とでも云うべきかァ？」


「何故貴方が此処に」なんて言葉は飲み込んだ。

･･･中也さんが、やったのか。


『･･･失礼します』


去ろうとすると、中也さんに声をかけられる。


中原「待てよ。手前には訊きたい事がたっぷりあるんだ」

『厭だ、と云ったら？』

中原「･･･そんなの、俺が許すと思うか？」


そして、中也さんは手を握り、愉快そうに笑った。


中原「決闘だ。俺と戦え」


冷や汗が、たらりと流れた。

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