【江戸川乱歩】初恋は僕の助手。【文スト】

第45話 乱歩さんにも云えない。 ページ46

仕事も殆ど終わった頃。
ゆっくりしていたら、敦君が話しかけてきた。


中島「Aさんって、お仕事は元々何をなさっていたんですか？」

『え？･･･前の、仕事？』

中島「はい。いえ、理由があって訊いた訳では無いんですけど･･･気になって」


･･･どうしようか。
彼に、いや、探偵社に伝えるなんて到底出来ない。

･･･乱歩さんにでさえ、だ。


『え、えっと･･･それは･･･』

太宰「敦君、人には云いたくない事だってあるんだよ。彼女もそうだ」


太宰さんが言い淀む私をフォローしてくれる。
･･･心の中で云っておきます、ありがとうございます。


中島「い、云いたくない事ですか･･･。すみません、気を使えなくて･･･」

『い、いいの。私こそごめんね？･･･いつか、話すから』


そう云って席を立つ。


『少し外に行ってきます』


敦君が何かを云いたそうにしていた･･･。
しかし、気づかない振りをして外に出た。

･･･ごめんね、敦君。



中島「僕、何か悪い事をしてしまったでしょうか･･･」

太宰「･･･敦君は悪くないよ。彼女も意地悪している訳でも無いんだ、ごめんね」

中島「いえ･･･。大丈夫でしょうか、Aさん」

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