太陽と椿【sha】 (ページ1)

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きっかけは多分無かった、気がついたら好きになっていた。

2年になってから行ったクラス替えで偶然席が近くなって、そこから話すようになった。
同じクラスだった訳でもないし、部活が一緒でも、ましてや趣味が共通していたわけでもなかった。簡単に言えば壁があった。

しかし彼はそんなもの易々と飛び越え、持ち前の天性の明るさとコミュニケーション能力でいつの間にか私だけでなくクラス全員と仲良くなっていた。

変な間が空くことも無く話していて楽しかったし、明るさに引っ張られたおかげで友達作りに困ることは無かった。
彼はあっという間にクラスの中心人物になり、いつもクラス全体を賑やかしてくれている。

一学期中盤で行った初めての席替えでは、ご近所さんから隣同士になった。あまり目立ったり騒ぐタイプではなかった私は正直隣に人がいるだけでとても安心できた。

また近くかよ、と笑いながら言われてしまったがそんな軽口が言い合えるほど私だけでなくみんな彼の事が好きだったと思う。

グループワークだけでなく授業のペアとして一緒に学習することが増えたからか、私たちの仲は必然と深まっていった。

前まで苗字で呼ばれていたのが名前になった。普段は絶対に呼ばないが、私も流されて唯一あだ名で呼んでいるほどだ。
距離の詰め方、会話の仕方など人と接するのに苦手意識を持つ私からしたら羨ましいものをたくさん持っていた。だから恋愛対象として、ではなく一人の人間として心から尊敬していた。

だから、この時はまだ恋心は抱いていなかったと思う。

そうじゃなかったら、この太陽のような笑顔を真正面から受け止められていなかったはずだから。