【FantasticBeast】明 日 も 君 と 。

トランクの中の秘密。 ページ29

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急にニュートが抱きとめてくれた時の細身に見える彼のたくましい腕を思い出した。


そしてまた鼓動が早くなる。


『……』


どうして、と思いながら少し頬を染めて困ったように眉を下げた姿を誰にも見られることがなくて良かったように思う。


こんな表情を誰かに見られた次の日には一日中彼女の表情が頭から離れないだろうから。

*****




心臓の鼓動を無視してAがニュートが入っていった部屋に続くとひどく汗をかいてぐったりした様子のジェイコブがいた。


その様子を見るなりAの鼓動はもういつも通りになっていた。


『…コワルスキーさん。大丈夫ですか？』


優しくAがジェイコブの肩を叩く。
ジェイコブはｺｸﾘと頷く。


Aはチラリとジェイコブの首をもう一度見た。


『ニュート。私のトランクはここにある？』


そしてそう聞くとニュートが分かっていたというようにAのトランクをどこからか持ってきた。


『ありがとう』


優しくAがそう言ってトランクを受け取るとｶﾞﾁｬﾘとトランクが開く。


そしてAは何やらトランクを漁り始めた。


ｶﾞﾁｬｶﾞﾁｬと中で何かがあたり音が鳴る。


『…これとこれ。あとはこれでいいかな』


独り言のように呟きながらいくつかの小瓶。
薬草のようなものを取り出してAが湿布剤を作る。


そしてそれをすぐに作り上げると優しくジェイコブの首に貼った。


『…失礼しますね。………お待たせしました。これで汗もひくと思います』


そしてまた何やら小瓶を出したかと思うとその中から2粒の錠剤を取り出して水と一緒にジェイコブに渡した。


『これはけいれんに効きます』


出された錠剤を最初は不安そうに見つめていたジェイコブだが、テキパキと薬を作るAに少しは大丈夫だと判断したのかぐいっと薬を飲み込んだのだった。


ﾆｭｰﾄ「大丈夫。Aの薬はよく効くからすぐに良くなるさ」


Aの後ろでニュートが手際の良さに見慣れたように、でも感心したように微笑んでいた。




*****




ニュートの言った通りAの薬の効き目はすごかった。
しばらくしたすぐにジェイコブは楽になったようだった。


ｼｪｲｺﾌﾞ「あんたすごいな。テイラーさん。一体何者なんだ？」


驚いたように首をさするジェイコブにAはクスリと微笑んでいった。


『…何者でも。ただの魔法薬草を調べる人間です』


…と。




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