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××noside
5年前に生まれた王族の姫君。
花のように可愛らしい姫は“A”と名付けられた。
“女の子”が産まれたと聞かされた時、国中の鬼の戦士たちは耳を疑った。けれど“時が来た”のだと。誰もが覚悟を決めた瞬間でもあった。
けれどそんなことは知らず。鬼姫はすくすくと美しく育っていった。今年で姫は5歳を迎える。
今日は姫の誕生日だった。
けれどそんな日のこと。
「姫様?姫様ーッ!!」
「どこにいらっしゃるんです!?」
「国王様、姫様がいらっしゃいません!」
王宮は姫がいないと大騒ぎになっていた。
そんな時姫はと言うと…
『…よし』
城を抜け出していた。
狼《…また後で叱られてもしらんぞ》
…父に仕える狼の狼と共に。
『…怒られるのは嫌だな』
そして戦士たちが暮らす街へと向かって行った。
姫がトコトコと歩いていると…
「あら?A様!お誕生日おめでとうございます」
「え!?姫様!?今日は王宮で宴会ではないので!?」
「また抜け出してきたんでしょう!ハッハッハ!とんだお天馬姫だ!」
国中の戦士たちが気づいてあっという間に囲まれてしまった。けれどみんな優しい顔をして笑っている。そしてみんなに頭を撫でられたり抱き上げられたりしている。
『…着物が今日は一段と重いから抜け出してきた』
「アッハッハ!」
「ふふ」
素直で可愛らしい姫様。そんな彼女は間違いなく国の光だった。
姫様が抜け出すのはいつもの事。けれどそれを誰も国の人が怒ることは無かった。何故なら…
『…おばあちゃん。腰が痛いのはなおった?』
「おや。姫様。また抜け出してきたのかい。あなたのお顔を見たら痛みなんて飛んじゃいましたね」
『…?どこで怪我したの?あの男の子にやられた?待ってて』
「ゲッ…姫様!!悪かったって!……痛ッッッてェェェ!!」
『…うさぎ。怪我してる。手当してあげるからお医者さんのとこ行こう』
「おや。姫様。……あぁ。なるほどな。今すぐに手当してやろう」
…誰にでも優しく強く平等な姫様。そんな姫を誰もが慕い見守っていた。そしてそんな姫は動物からもよく好かれた。元々、妖は動物と共存して暮らしていたがAの懐かれようには皆驚いた。
姫が見つからなければ大体森の中の花畑。そこに行けば動物達と遊ぶAがいるのだった。
綺麗な着物はいつも泥だらけ。けれど戦士たちはそんな姫が大好きだった。
××
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えいみ(プロフ) - 続きを書いてもいいでしょうか? (2022年8月20日 21時) (レス) @page1 id: 3c67f62593 (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 続きの更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しく思います。待ってます。 (2021年12月1日 10時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか? (2021年3月6日 0時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はち. | 作成日時:2021年1月1日 0時