《9》ここで… ページ10
“人間”。その言葉が、少年の頭の中に
蒼葉「あぁ、クリアも元々人間じゃないもんな。」
『そうなんだ……え、そうなの?』
危うく蒼葉の言葉をスルーするところだったが、我に返り、その言葉の意味を理解しようとした。
クリア「はい!僕は人間ではなく、人間によって作られたアンドロイド、なんですっ!気が付きませんでしたか?」
『…うん、全然……人間って、ずっと思ってた。』
驚きで丸くなっていた目に、徐々にキラキラと光が入ってくる。
人間ではないものが、本物の人間のように暮らしている。
それだけで、少年は表情を明るくさせた。
タエ「……お前…人間になりたいのかい?」
そんな少年の様子が気になったのか、タエが尋ねる。
しかし、その質問に少年は再び顔を曇らせてしまった。
『…わからない……けど、……興味は、ある。』
いつの間にか、自分の隣に座っていたクリアに目を移し、にこりと微笑む。
クリア「…!」
少年の答えを聞くと、タエは目を伏せて、ふっ、と小さく笑った。そして、少年に言った。
タエ「ここへ来たのも何かの縁だ。どうだい?地上で初めての生活ってのも、悪くはないだろ?
海が恋しけりゃ、いつでも、好きな時間に行ってくればいい。
やっぱり海がいいなら、遠慮なく言えばいい。無理に住むことはないさ。」
タエの真剣な表情に、少年は目線を逸らすことは出来なかった。
じっ、と見つめて数秒後。決心したのか、改めてタエと向き直り、口を開いた。
『………地上のことは、全部知ってるわけじゃない。この世界のルールも、普通もわからない……けど、それでもいいなら僕は……ここで…生活してみたい。』
その言葉を聞いて満足したのか、タエは何も返さないまま、食事を続けた。
クリア「やりましたね!えーっと……」
クリアが少年の名前を呼ぼうとした時、はっと何かを思い出す。
クリア「そういえば自己紹介、まだでした…」
蒼葉「ふはっ、すっげー今更!そうだなぁ…俺は瀬良垣蒼葉!そんで、そいつが俺のオールメイトの蓮だ。よろしくな!」
蓮『よろしく。』
蒼葉に続き、クリアも自己紹介を始めた。
クリア「僕はクリアと申します。そして、あちらのお婆さんがタエさんです。これからよろしくお願いします!」
一通り瀬良垣家の自己紹介を終えた後で、蒼葉が少年に問いかける。
蒼葉「そういやお前、名前はあるのか?」
『うん、一応……何故だか知らないけど…
僕は、A。』
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雪葉(プロフ) - 霊華さん» わぁぁ、ありがとうございます!! (2018年11月23日 16時) (レス) id: 964266bff5 (このIDを非表示/違反報告)
霊華 - くっそ可愛いじゃねぇか! (2018年11月20日 17時) (レス) id: 55c6bf7b1a (このIDを非表示/違反報告)
雪葉(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございます!僕も初めて小説を書いて、少し不安だったのですが、気に入って頂けてとても嬉しいです!宜しければこれからも楽しんでいって下さい! (2018年8月19日 0時) (レス) id: 964266bff5 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - コメント失礼致します( ..)" 更新される度拝見させてもらってます!ドラマダの夢小説を見つけたのがこれが初めてだったので、拝見させてもらったのですが、とても面白くてハマってしまいました(*'ω') これからも無理の無い程度に更新頑張って下さい! (2018年8月18日 15時) (レス) id: f2889be617 (このIDを非表示/違反報告)
雪葉(プロフ) - ユトさん» コメントありがとうございます!ノイズが言ってくれてよかったです(笑)この作品を見つけて下さりありがとうございます!これからも是非楽しんでいってくださいね! (2018年8月16日 19時) (レス) id: 964266bff5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪葉 | 作成日時:2018年8月8日 23時