《7》…僕は、 ページ8
『…僕は、人間じゃない。』
無意識に、そんな言葉が口から零れた。
それを聞いていた黒い生き物は、首を傾げて質問をしてくる。
??『だが、君の姿は人間そのものだ。』
『それでも…それでも僕は、人間じゃないんだ。』
何故だろう。何故、こんなにも人間ではないことを頑なに否定するのだろう。
それは、僕にも分からなかった。だが実際、僕が人間ではないことは事実なのだ。
『人間は、地上で暮らす生物。けれど、僕は今まで、地上では暮らしていなかった。』
??『人間でないのなら、君は何だ?やはり、人魚なのか?』
…「君はなんだ?」…そんなこと、今まで考えても、思ってもみていなかった。
人魚、というものはわからないけど………それが人間でないなら__
『…可能性は、なくはない…』
??「ええっ!?じゃぁやっぱり、君は人魚王子だったんですね!」
『!?』
白い人間が、後ろから急に飛び出してきた。
胸の中の何かが、また急に動きが激しくなる。
黒い生き物が言っていた、心拍数……というものだろうか。
けれど、数秒後には、その心拍数とやらは元に戻っていた。
……不思議だ。人間ではないのに、人間と同じような現象が起きるのか。
??『クリア、まだ人魚だと決まった訳では無い。少年が驚いている。』
??「えぇ、そんなぁぁ…」
驚き……驚くと、心拍数はすぐに治まるのか……
2人のやり取りを他所に、僕が体の現象のことについて深く感心していると、不思議な匂いが漂ってきた。
その匂いの正体は、白い人間と青い人間が手に持っているもの。
貝殻のような形をした真ん丸な塊の上に乗っている、見たこともない物体だった。
何も持っていないピンク色の人間が再び現れ、この場にいる全員に呼びかける。
??「さて、その子のことは、昼食を食べながらゆっくり話そうかい。」
『ちゅー…しょ…く…?』
??「お昼ご飯の事ですよ。よかったら、君も食べますか?」
…ごはん………海で言う、捕食のことだろうか。
地上の人間は、捕食ではなく…自分の餌を、自分で作るのか……
『………いや、僕はいい。必要ない』
なぜか、僕は元々、海での食物連鎖から外れていて、捕食する必要もないし、される必要もない。
「食べる」という概念がないのだ。
??「そっか…じゃぁ、悪いけど俺らだけで食っちまうからな?」
『うん。』
……あれ………いつの間にか僕、普通に話してる。
…僕に敵意がないって、わかったからかな…?
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雪葉(プロフ) - 霊華さん» わぁぁ、ありがとうございます!! (2018年11月23日 16時) (レス) id: 964266bff5 (このIDを非表示/違反報告)
霊華 - くっそ可愛いじゃねぇか! (2018年11月20日 17時) (レス) id: 55c6bf7b1a (このIDを非表示/違反報告)
雪葉(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございます!僕も初めて小説を書いて、少し不安だったのですが、気に入って頂けてとても嬉しいです!宜しければこれからも楽しんでいって下さい! (2018年8月19日 0時) (レス) id: 964266bff5 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - コメント失礼致します( ..)" 更新される度拝見させてもらってます!ドラマダの夢小説を見つけたのがこれが初めてだったので、拝見させてもらったのですが、とても面白くてハマってしまいました(*'ω') これからも無理の無い程度に更新頑張って下さい! (2018年8月18日 15時) (レス) id: f2889be617 (このIDを非表示/違反報告)
雪葉(プロフ) - ユトさん» コメントありがとうございます!ノイズが言ってくれてよかったです(笑)この作品を見つけて下さりありがとうございます!これからも是非楽しんでいってくださいね! (2018年8月16日 19時) (レス) id: 964266bff5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪葉 | 作成日時:2018年8月8日 23時