《45》___ ページ50
クリア「__!!あめさんっ!!」
机を拭いていた手を止め、急いでAの元に駆け寄る。
何度も何度も呼び掛けるが、何も反応がない。
クリアの声を聞き、タエも台所へ駆けつけた。呼吸も何もしていないAを見て動揺したが、直ぐに冷静を取り戻し、Aをソファに運ぶようにと指示をした。
クリア「……はい…!」
背中と膝に腕を回して、そっと抱き上げる。
心做しか、操られるものがなくなった人形のように軽かった。
ゆっくりとソファに身体を下ろすと、タエがAの心臓部に手を当てた。Aは人間じゃないし、何者なのかもわからない。が、出来ることはしておきたいのだろう。
タエ「……これは生きていると言っていいのかわからないが…ちゃんと動いているよ。」
クリア「…!よかっ…た……!」
その言葉を聞いて、クリアは深い溜息を吐いて力なく笑う。
が、まだ安心は出来なかった。
タエ「……今まで海にいて、急に陸で生活し始めたんだ…倒れても、何も可笑しくない……」
クリア「………」
タエの発言は、正しかった。Aが瀬良垣家へ来て随分と経った。が、その中でAは普通の人間のように、普通に過ごしていた。
だから……気にしていなかったのだろう。いや、こんな予測はできなかったのだろう。
__やっぱり…と、クリアはあることを考えていた。
興味本位でAを連れてこなければよかった。あの時、海へ行かなければよかった。あの時、出会っていなければ__
だが、そう考えれば考える程、心が原因不明の激痛に襲われた。
こんなこと考えたくない、認めたくない…と、心のどこかでもがいているのだろう。
そんなこと、わかっていた。
わかっていた……のに。
クリア「………タエ、さん。」
顔を見られないように俯き、ゆっくりと口を開いた。
タエがなんだい、と尋ねる。
クリア「……Aさんを…海に、返しましょう。」
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雪葉(プロフ) - 霊華さん» わぁぁ、ありがとうございます!! (2018年11月23日 16時) (レス) id: 964266bff5 (このIDを非表示/違反報告)
霊華 - くっそ可愛いじゃねぇか! (2018年11月20日 17時) (レス) id: 55c6bf7b1a (このIDを非表示/違反報告)
雪葉(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございます!僕も初めて小説を書いて、少し不安だったのですが、気に入って頂けてとても嬉しいです!宜しければこれからも楽しんでいって下さい! (2018年8月19日 0時) (レス) id: 964266bff5 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - コメント失礼致します( ..)" 更新される度拝見させてもらってます!ドラマダの夢小説を見つけたのがこれが初めてだったので、拝見させてもらったのですが、とても面白くてハマってしまいました(*'ω') これからも無理の無い程度に更新頑張って下さい! (2018年8月18日 15時) (レス) id: f2889be617 (このIDを非表示/違反報告)
雪葉(プロフ) - ユトさん» コメントありがとうございます!ノイズが言ってくれてよかったです(笑)この作品を見つけて下さりありがとうございます!これからも是非楽しんでいってくださいね! (2018年8月16日 19時) (レス) id: 964266bff5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪葉 | 作成日時:2018年8月8日 23時