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今思えば、Aは人間ではないと言っても、食事を取らない以外のことは、全て人間そのものの行動だった。
少しおかしな行動を取る時もあるが、それは海にいたときの癖ということで、何も変なことは無い。
違和感も何も感じられないほどに人間らしく生活していたから、つい人間として考え、接してしまうのだろう。
人間として接してみても、Aの命に関わることは起きたことは無かった。
だから、疑問に思う必要もないし、何より__
『どうしたの…?』
静まり返った食卓が嫌なのか、Aが不安そうな表情で台所に顔を出した。
その言動で我に返り、4人は慌てて空気を取り戻そうと手を動かす。
紅雀「いーや?なんでもねぇよ。心配させて悪かったな。」
距離が1番近かった紅雀が、Aの頭にぽん、と手を乗せる。その手に安堵したのか、
『うん…』
と柔らかい微笑を浮かべてソファへ戻った。
先程の3人の様子を見て、これ以上は聞かない方がよさそうだと判断した紅雀は、何も言わず、ただ黙って汁物に口を付けた。
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蒼葉「じゃ、仕事いってきまーす。紅雀、行こうぜ。」
紅雀「おう。朝飯ありがとうなタエさん!」
タエ「ふん…無駄口はいいから、早く行きな!」
タエがそう急かすと、蒼葉が玄関の扉を閉め、2人は仕事へと向かった。
蒼葉は、昨日早退してしまった分、今日の帰りは遅くなるそうだ。
2人の見送りを終えると、クリアとAは、食器の片付けをしに再び台所へ移動した。
クリア「じゃぁ、Aさんはお皿洗いをお願いします。」
『わかった。』
クリアに頼まれた通り、A全員の皿を洗い始める。
今日は紅雀もここで朝食をとったため、その分洗い物が増えていた。
『……………』
ふと、皿を洗う手が止まった。
いや、手だけではない。
Aそのものが、止まった。
瞬きも、呼吸も、1mmも動かずに立っているAを見て心配したクリアが声をかけようとした。
だが、その声は喉で留まってしまった。
糸が切れたように、Aが倒れたのだ。
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雪葉(プロフ) - 霊華さん» わぁぁ、ありがとうございます!! (2018年11月23日 16時) (レス) id: 964266bff5 (このIDを非表示/違反報告)
霊華 - くっそ可愛いじゃねぇか! (2018年11月20日 17時) (レス) id: 55c6bf7b1a (このIDを非表示/違反報告)
雪葉(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございます!僕も初めて小説を書いて、少し不安だったのですが、気に入って頂けてとても嬉しいです!宜しければこれからも楽しんでいって下さい! (2018年8月19日 0時) (レス) id: 964266bff5 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - コメント失礼致します( ..)" 更新される度拝見させてもらってます!ドラマダの夢小説を見つけたのがこれが初めてだったので、拝見させてもらったのですが、とても面白くてハマってしまいました(*'ω') これからも無理の無い程度に更新頑張って下さい! (2018年8月18日 15時) (レス) id: f2889be617 (このIDを非表示/違反報告)
雪葉(プロフ) - ユトさん» コメントありがとうございます!ノイズが言ってくれてよかったです(笑)この作品を見つけて下さりありがとうございます!これからも是非楽しんでいってくださいね! (2018年8月16日 19時) (レス) id: 964266bff5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪葉 | 作成日時:2018年8月8日 23時