《27》もっと、近くに…… ページ31
『…あ、の…僕、人が…怖くて……もっと、近くに……』
上目遣い、震えた声、目に浮かんだ涙、そして、遠慮がちに裾を握る姿。
普通の成人男性が今のAを見たら、思わず顔面を真っ赤にするだろう。
本人は必死で助けを求めているつもりなようだが。
ノイズは一瞬驚いたように瞳を小さくしたが、直ぐに表情を戻してため息をつく。
そして、震えているAの肩を抱き寄せ、なるべく身体を密着させた。
ノイズ「…これでいい?」
『……ありがとう…』
普通はそうされたらドキドキするかもしれないが、恐怖が勝ってAは何も感じることができない。
いや、一つ感じたことがある。
『……落ち着く…』
肩に腕を回されているため、守られている感覚があるようだ。しかもノイズはAよりも身長が高い。それが安心感を生むのだろう。
ノイズ「よかった。」
ついでにぽんぽん、とAの頭を撫でると、競技場の中心に目を移した。
次の瞬間_全体の照明が一気に消え、辺りがシンと静まり返る。
そして、競技場の中心が光り、バトルフィールドが展開された。
観客の黄色い声に答えるように、MCが興奮気味で進行し始める。
MC『Ladies and gentlemen!!!!本日はお越しいただき感謝ァ!!!それでは早速バトルに移りまショウッ!!!バトルのスタートを飾るプレイヤーはフィールドへ接続ゥ!!』
突然な事にAは体を固めて驚いていたが、その傍でノイズは蓮を使ってフィールドへ接続していた。
蓮『フィールド接続、完了した。』
ノイズ「オイ、行くぞ。」
『…あ、え……えぇっ、待っ…!』
蓮が接続の完了を知らせると、ノイズは呆然と立ち尽くしているAの手を引いて、競技場の中心へと向かう。
目の前まで行くと、Aの手を掴んだまま、バトルフィールドの中へと足を踏み込ませた。
『ッ__!!』
一瞬、軽い頭痛がAを襲う。思わず目を瞑ってしまったが、再び目を開けると、そこは何処までも続く電子空間に変わっていた。
ライムの、バトルフィールド……Aにとって初めての空間だったが、何故か懐かしい感覚だ。
__懐かしい感覚……なんだっけ…
『………あ…海だ…』
ふと、海にいた感覚が蘇ってきた。地面がない、どこまでも続く空間。
ライムのバトルフィールドと、一致しているのだ。
ここなら人間もあまりいない。久々の海の感覚に浸って、泳ぐように宙を回転していると、MCの声が何処からか聞こえてきた。
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雪葉(プロフ) - 霊華さん» わぁぁ、ありがとうございます!! (2018年11月23日 16時) (レス) id: 964266bff5 (このIDを非表示/違反報告)
霊華 - くっそ可愛いじゃねぇか! (2018年11月20日 17時) (レス) id: 55c6bf7b1a (このIDを非表示/違反報告)
雪葉(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございます!僕も初めて小説を書いて、少し不安だったのですが、気に入って頂けてとても嬉しいです!宜しければこれからも楽しんでいって下さい! (2018年8月19日 0時) (レス) id: 964266bff5 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - コメント失礼致します( ..)" 更新される度拝見させてもらってます!ドラマダの夢小説を見つけたのがこれが初めてだったので、拝見させてもらったのですが、とても面白くてハマってしまいました(*'ω') これからも無理の無い程度に更新頑張って下さい! (2018年8月18日 15時) (レス) id: f2889be617 (このIDを非表示/違反報告)
雪葉(プロフ) - ユトさん» コメントありがとうございます!ノイズが言ってくれてよかったです(笑)この作品を見つけて下さりありがとうございます!これからも是非楽しんでいってくださいね! (2018年8月16日 19時) (レス) id: 964266bff5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪葉 | 作成日時:2018年8月8日 23時