40話 ページ42
この日は、Aと皆と共有ルームでコウのご飯を食べた後、Aを連れてまたピアノ室に降りてきた。
剣介｢A、実は作曲出来るとか…？｣
『んー…出来ない、かなぁ』
志季さんが教えてるのかと思ったけど…そういうわけじゃないのか…。Aが作った曲も歌ってみたいな、と言ったら彼女は照れくさそうに笑ってくれた。
『…でもね。こうして目を閉じて…指を滑らせると…』
静かに目を閉じた彼女は、ゆっくりとピアノに指を置いて…思い思いに指を滑らせた。
剣介｢…！｣
最初はぽつりぽつりと出ていた音が、いつの間にか束になって、1つの曲になっている。
剣介｢すげぇ…｣
『…。』
Aの隣に座って、目を閉じて耳を傾けた。優しい音に包まれて…なんか、幸せかも。
剣介｢…。｣
『…？寝ちゃった？』
剣介｢いや…いい曲だなって。…なんか、衛の作る曲に似てるかも｣
『そうかな？…衛兄から教わったからかな？』
そういえば、さっきご飯中に衛も言ってたな｢Aちゃんは器用だから、俺が教えたらすぐ覚えちゃったんだよ！｣って。…それで世界観まで似たのかな
『衛兄からは、ピアノと…たくさんの優しさを教えてもらったの。だから、音楽に込めて伝えたい』
剣介｢…｣
『ケンくん。ケンくんにも、伝わったかな』
剣介｢…うん。すげー伝わった｣
もう1曲弾いて？と頼んでみると、彼女は優しい笑顔で頷いてくれた。
『…。』
剣介｢…。｣
やっぱ落ち着く…心地いい。彼女の肩に頭を乗せて目を閉じると、そのままゆっくりと意識を手放した。
雪屋side
弾き終えて隣を見ると、ケンくんは私の肩に頭を乗せて眠っていた。幸せそうな寝顔…
志季｢相変わらず、綺麗な音色だな｣
『…！し、志季さん…おかえりなさい』
入口にはいつの間にか志季さんが…今日連絡しなかったこと、怒ってるかな？
志季｢お前に作曲を教えなくてよかった。お前は、そのまま自由に表現するのが1番いい｣
仕事には向かないけどな。と志季さんは苦笑いして、眠ってしまったケンくんをつついた。
志季｢起きろ、Aに寄りかかったらAが潰れてしまうだろう｣
『そんなことじゃ潰れないよ』
剣介｢…んん…｣
志季｢3秒以内に起きないとAを連れて帰るぞ｣
剣介｢ふぁ！？起きますっ！｣
『はやっ…』
志季｢ふっ…今日は特別泊まらせてやる。ただし、手を出したら許さん｣
『え…』
ケンくんの部屋、泊まるの…？
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雪藤（・×・）(プロフ) - ペンギンさん» ありがとうございます！なぜか自然と志季さんがお父さんポジションを獲得してしまうんですよね…(苦笑)コメントとっても嬉しいです、頑張ります！ (2019年9月1日 6時) (
レス) id: e3a335fc77 (このIDを非表示/違反報告)
ペンギン(プロフ) - すごく面白いです(*´ω｀*)他のシリーズでも志季さんがお父さんしてるのが好きなのでこれからの更新を楽しみにしてます！ (2019年8月31日 20時) (レス) id: f669d38244 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪藤 | 作成日時：2019年8月31日 8時
