犬が45匹 ページ45
あの日黒姫さん…じゃなくて、夏姫さんに何があったのかは私もお父さまも理解してた。…いや、私がちゃんと理解できてたかは微妙だけど、とにかく彼女には事情があったのです
『夏姫さん、大変だったんだよね？』
黒姫｢…｣
『女の人は、毎月すごくつらい思いをしてるって…お父さまが言ってた。なのに…私がいたせいで…夏姫さんがお父さまを独り占めできなくて』
黒姫｢…！！そ、そんなつもりじゃ…！｣
白楽｢ぶっ、ふふ｣
『私も、この姿になってわかった。好きな人が他の人に取られちゃうかもって思うと…それだけで…こう、胸がきゅってなるの』
黒姫｢Aにも…好きな人が？｣
『うんっ、ケンくんが…好き』
黒姫｢…｣
白楽｢両想いだ。…俺には止められないよ｣
黒姫｢そう、ですか…｣
『…わかってる。私は犬で、彼は産まれた時からずっとヒトです。それに私は、彼に恩返しをする為にこの姿になった。その為にここまで来た。……だから、ずっと一緒には…いられない』
白楽｢…｣
『……一緒にいたいのは、私のわがままで…。本当は、恩返しが終わったら…終わり』
どう恩返ししたらいいか、未だによく分かってないけれど…私がその役目を終えたら、彼の元からいなくならなければならない。当然だ。私はもう…そんな長くないし
『でもどうしよう…恩返しより先に、私が死んじゃったら』
黒姫｢…え？｣
白楽｢…くろまめ｣
『…ケンくんには言ってないんだけど…ヒトになったら…残り1年くらいしか生きられないって』
黒姫｢！｣
『でも、その前に…ちゃんとこの命を…助けてもらった恩を、お返ししたいんだ』
黒姫｢くろまめ…ごめんなさい。私があの日追い出したりしなければ…｣
『ううん！大丈夫だよ。…おかげで、私はケンくんに会えたから！』
黒姫｢…っ……A｣
『…この話は、内緒ね？』
白楽｢……わかった｣
黒姫｢いいの？ちゃんと話した方が…。いきなりいなくなったら…｣
白楽｢…Aに任せる。…ねぇ、ひとつ…俺の頼みを聞いてくれるかな？｣
『…？』
白楽｢俺は、お前が生まれた時からずっと一緒にいた。…だから…最期も、一緒にいさせてほしい｣
『…！』
最期まで、一緒にいたい。それが私をずっと育ててきたご主人様の…最後のお願い。
『…うん。全て終わったら…ここに帰ってきます』
真っ直ぐ彼を見てそう言うと…彼は寂しそうな、悲しそうな目をしながらも笑顔を返してくれた。
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雪藤（・×・）(プロフ) - 紗由さん» こんばんは、ありがとうございます！サブマネシリーズと掛け持ちで頑張ります！ (2021年4月11日 20時) (
レス) id: e3a335fc77 (このIDを非表示/違反報告)
紗由(プロフ) - こんばんは。新作うれしいです！がんばってください！更新楽しみにしています！ (2021年4月11日 20時) (レス) id: 0ea605d8d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪藤 | 作成日時：2021年4月11日 20時
