犬が43匹 ページ43
Aside
恩返しって、難しい。ケンくんは何か困っているわけじゃないし…困っているとしたら、私が怪我をしたせいでせっかくの休みが私のお世話になったことだろうし…。とにかく、彼のために何かしたい
『…』
剣介「…?どうした、そんなにじっと見つめても何もないよ?」
『……ケンくん、なにか悩み事ない?』
剣介「悩み?そうだな…Aが悩んでることが悩みかな」
『?わたしが…悩み…』
剣介「難しい顔してるから。…ほら、笑顔笑顔」
『ふぎゅ』
ケンくんの大きな手が頬を包み込んできて、むいっと引っ張られる。今のきっと変な顔をしてる…でも、ケンくんも笑ってる
剣介「ははっ、可愛いなぁ」
『…うー…』
剣介「…」
『…?』
剣介「…目、閉じて」
『う、うん…』
ゆっくりと顔が近づいてきて、そっと目を閉じる。唇と唇が触れ合うほんの少し前で…私は誰かが帰ってくる気配を感じた
『…!リョウくんだ』
剣介「!」
涼太「ただいま。A、いい子にしてた?」
『おかえりなさいっ!いい子…だった?』
剣介「もちろん!Aは超いい子だったよ」
涼太「そう。まさか襲ってないよね、ケン」
剣介「ま、まさか…あはは」
涼太「…」
『…?』
涼太「まぁいいや。それより、事務所に黒姫さんと白楽さんが来てたよ。Aに会いに来たっぽい」
『!リョウくん、2人に会ったの?』
涼太「俺とコウで会ってきた。2人とも、お前を心配してた」
剣介「…」
『…そっか…ちゃんと顔出さないとだね』
涼太「うん、そうしてあげて」
早めに、行こう。いつなら行けるかなと考えていると、急に身体が後ろに引かれて、そのまま何かに突っ込んでしまった
『??な、なに…?』
剣介「…妬ける」
『え?』
剣介「お前が、俺以外の男のことを考えてると…妬けてくる」
『…えっと』
ケンくんの腕の中からリョウくんに助けを求めると、リョウくんは諦めろと言いたげな顔をしてた。
剣介「もちろん、顔見せてあげるのは大事。でも…」
『…』
剣介「Aは…俺のだよね?」
『…うん。もちろんです』
腕から抜け出してケンくんと向かい合い、頬に軽く、触れるだけの口付けをする。後ろからリョウくんの視線を感じるけれど…今は、ケンくんを笑顔にしたい
『私は、ケンくんのものです』
剣介「…!うん、ありがと」
涼太「ふふっ」
『えへへっ』
みんなで笑いあった時間は、幸せだった。
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雪藤(・×・)(プロフ) - 紗由さん» こんばんは、ありがとうございます!サブマネシリーズと掛け持ちで頑張ります! (2021年4月11日 20時) (レス) id: e3a335fc77 (このIDを非表示/違反報告)
紗由(プロフ) - こんばんは。新作うれしいです!がんばってください!更新楽しみにしています! (2021年4月11日 20時) (レス) id: 0ea605d8d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪藤 | 作成日時:2021年4月11日 20時