ケンちゃん、犬を飼う。

犬が26匹 ページ26

寮に帰ってから、私は黒姫さんのことをまもちゃんとリョウくんに全部話した。

『…ということ、なんだけど…』

衛｢そうだったんだ…それでなんだか落ち込んでるみたいだったんだね｣

話してくれてありがとう、とまもちゃんは頭を撫でてくれた。リョウくんもしっかりと話を聞いてくれて、手帳に何かを書いていた

涼太｢追い出した本人が、Aを探してた…と｣

衛｢Aちゃん、昔はなんて名前だったの？｣

『くろまめ、です』

涼太｢そのままの名前｣

『？』

衛｢…ねぇAちゃん。飼い主さんに会いたい？｣

『…』

涼太｢会いたい…じゃなくて、戻りたい？｣

『…！いいえ、私は…ここにいたい。けど、前のご主人様が心配で…』

衛｢そう、だよね｣

涼太｢…｣

前のご主人様、白楽(しらく)さんは私が生まれた頃からずっと育ててくれた。でも…私は…

『でも……っ、わわ』

いきなり後ろから抱きしめられてびっくり。考え事をしてたから気付かなかったけど…私の真後ろにケンくんと、その斜め後ろあたりにコウくんがいる

剣介｢会いに行こ、一緒に｣

『…！ケンくん…』

昂輝｢1度会って、無事を伝えたらどうだ？｣

『でも…場所わからないし…』

剣介｢わかった！俺がAを見つけたとこに連れてくから、その周辺を探してみよう！｣

『え…』

剣介｢ついでにその周辺観光しよう！｣

衛｢なるほど、デートだね！｣

剣介｢でっ…｣

『でーと？』

涼太｢たくさんお散歩しておいで｣

『うん！』

衛｢ケンくん、すっごく意識してるね｣

昂輝｢一方、Aには伝わっていない…と｣

涼太｢ケン？もっと積極的にアピールしないとだよ｣

剣介｢リョウ…この間はAを庇ってたじゃん｣

涼太｢それはケンがAを襲ってたからだろ｣

『…？』

喧嘩、かな？言い合いが始まっちゃった…？

昂輝｢Aはこっちで、俺達と話をしようか｣

衛｢おいで〜Aちゃん｣

『はーいっ』

ケンくんとリョウくんが話している間、私はコウくんとまもちゃんと今日の撮影のお話をしていた。

衛｢探偵衣装の蜜柑ちゃん、可愛いでしょー！｣

昂輝｢可愛いな。…きっとAが着ても可愛いと思う｣

『え、あ、ありがと…？』

剣介｢コウー！Aを口説くなー！｣

涼太｢探偵衣装見たい、どれ？｣

いつの間にかケンくん達もまもちゃんのスマホを覗いていて、気付けばいつも通りの感じに戻っていました。

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