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犬が13匹 ページ13

その日の夜、ケンくんに会った日の夢を見た。



あの日は大雨で、私は上手く動かせない自分の身体を引きずり、雨をしのげる場所に移動した。血の跡は雨に流されて、私自身が黒いから通る人は気付かなくて…あぁ、今日で終わりか。そんなことをぼんやり考えていた気がする。


「…!いぬ?」


土砂降りの雨の中、声なんて誰にも聞こえないと思っていた。でもその男の人だけは気付いて、立ち止まって…私の前にしゃがみ込んだ。


「痛いよな…大丈夫、俺が助けるから」


「ちょっと動かすよ?大丈夫大丈夫、絶対助ける。俺を信じて?」


痛いよな、頑張れ、大丈夫、絶対助ける。色々な言葉をかけながら、彼は私を濡れないように庇いながら動物病院まで連れていってくれた。

「すみません、この子、すごく苦しそうで…」

「…!す、すぐに先生を呼んできます!」

病院についてから、すぐに足に刺さってるやつとか、傷をなんとかしてくれた。その辺りのことはよく覚えてないんだけど…そこで働いている女の人の会話は覚えてる。

「あのわんちゃん連れてきた人、すごくかっこよくない?」

「彼、もしかして剣介くんじゃない?八重樫剣介くん」

「八重樫剣介くんって…うそ、芸能人!?」

げーのーじん、っていうのはよく分からなかったけど、彼の名前はわかった。おかげでその後、人の姿になれた時に彼を探せたんだよね。


「なるほど、剣介に…。じゃあここに遊びにおいで」

あぁ、これは…神社でお掃除をしてた時の記憶。たまたま訪れたっていう男性から、剣介さんのお話と彼がいるげーのーじむしよ、を教えてもらった。

「会えるといいね、彼に」

そう言って去っていった男性は…えっと、誰だったかな…



『……はっ』

いきなり目が覚めて、カーテンの隙間から見える光を見てもう朝かと呟く。お散歩、行きたいけど…ケンくんを起こすには…ちょっと早いかな

『…お散歩…』

視界に入ったオレンジの首輪を持って、部屋の中をぐるぐる回る。毎朝のお散歩が、私の1番の楽しみみたいだ。ぐるぐる回りながらケンくんのところに行こうか悩んでいると、扉が開いて彼の声が聞こえてきた

剣介「Aおはよう、お散歩行こー」

『…!ご主人様!』

剣介「俺のこと待ってたの?じゃ、行こう」

《わん!》

嬉しい、幸せ。…でも、私、こんな幸せでいいのかな?私は、彼を幸せに出来るのかな

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雪藤(・×・)(プロフ) - 紗由さん» こんばんは、ありがとうございます!サブマネシリーズと掛け持ちで頑張ります! (2021年4月11日 20時) (レス) id: e3a335fc77 (このIDを非表示/違反報告)
紗由(プロフ) - こんばんは。新作うれしいです!がんばってください!更新楽しみにしています! (2021年4月11日 20時) (レス) id: 0ea605d8d3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪藤 | 作成日時:2021年4月11日 20時

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