君は私の王子様2《藤村衛》

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剣介｢衛！どうだっ…た…｣

『…』

衛｢あー…あはは、なんか失敗した｣

出迎えてくれた剣介を衛の背中から睨みつけると、全てを察したリョウと昂輝くんが静かに息を吐いた。

昂輝｢衛、どんまい｣

涼太｢ケン…いい加減諦めて｣

剣介｢いやいや！俺はちゃんとけじめつけたよ！？見ろよこの目を！まだ少し腫れてるだろ｣

衛｢そういえばAちゃんも腫れてるよね…大丈夫？｣

『だ、大丈夫…です』

涼太｢…衛、とりあえずAを口説き落としてきて。お願い、コウのお赤飯を無駄にしないで｣

衛｢お赤飯なんだ｣

剣介｢俺の失恋記念にする？｣

昂輝｢それはあと何回やればいい？｣

剣介｢そう何回もやってねぇよな？｣

剣介と涙を拭い合った数時間前はなんだったのか。このままじゃ、私が前に進めない。

『…衛、その…あの、話聞いて！』

衛｢え…あぁ、うん。俺の部屋で話そっか｣

流れに任せるだけじゃダメだ、と衛の袖を引くと、衛は優しく微笑んで私の手を繋ぎ、自分の部屋へ連れていってくれた。

衛｢聴いて欲しいものがありまして…少し、付き合ってくれないかな？｣

『聴いて欲しいもの？』

キーボードに向かった衛は軽く鍵盤を叩いた後、どこかで聴いた曲を弾き始めた。

『…？…あ…』

さっきの、衛の鼻歌だ。Growthの曲とはまたちょっと違う雰囲気のその曲は、聴いているだけで…すごく癒される。

衛｢…どう、かな？｣

『すごい…こういう雰囲気の好き』

衛｢ほんと？よかった…これはAちゃんへのプレゼント、一緒に…この曲を完成させてくれませんか？｣

『…！』

それは…お誘い？告白？衛の次の言葉を待っていると、衛は私の目の前に向かい合って座った。

衛｢本当は、曲が出来たら告白するつもりだったんだ。でも、ケンくんの話聞いて…あぁ、今しかないなって｣

『…どんな話、してたの？』

衛｢…それは、秘密。でも、ケンくんの、Aちゃんへの想い…しっかり伝わった｣

『…！』

──衛と、幸せになって。

ぼろぼろ泣きながら言ってくれた…剣介の優しい声が頭をよぎる。剣介は、何度も告白しながらも、私の初恋を応援してくれていた。

衛｢だからって訳じゃないけど…俺は、俺の一生をかけて、君と幸せになりたい｣

『…衛』

衛｢…まぁ、ケンくんやリョウくん、コウくんも一緒に、皆で仲良くやっていきたいけどね？でも、隣には…君にいて欲しいな｣

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