[ツキプロ]サブマネという名の雑用係12 (ページ30)

今日:13 hit、昨日:6 hit、合計:20,800 hit

聖夜の天使ちゃん。編4話ページ30

剣介｢吐け！なんでクリスちゃん口説こうとしたんだ！｣

『…。ここは取り調べ室か？』

バァン、とテーブルを叩くケンくんと、椅子に座って手と足を組み深くため息をつくAちゃん。ここは事務所のとある一室。決して取り調べ室ではない

剣介｢なんで俺じゃないんだ…！くそっ｣

衛｢ケンくん、本音ダダ漏れだよ｣

剣介｢衛もなんで止めないんだよー、A姉がどんな人か忘れたか？この世の全ての女性を支配しようとして…｣

『ねぇよ。なんでこの世の全ての女性なんだ』

剣介｢俺は知ってる。A姉が女の人とすれ違うたびに熱い視線をおくってるの｣

『気のせいだろ』

剣介｢それを俺に向けて｣

『無理だな』

剣介｢くっ…俺のサンタになって｣

『…』

剣介｢衛…Aを俺のものにするにはどうしたらいい…？｣

衛｢えっ…すごい質問だね｣

剣介｢クリスマスくらい、オシャレなバーで一緒に飲みたい…｣

しょぼん、とうなだれるケンくんを見て、Aちゃんがそっと立ち上がった。

『…。剣介』

剣介｢…？｣

『いいよ。一緒に飲みに行こうか』

剣介｢…え……いい、の？｣

うなだれるケンくんの隣に座ったAちゃんが、彼の頭を優しく撫でる。その目は、とても優しかった。

『約束したからな。その約束を果たそう』

剣介｢…！A姉…覚えてたの？｣

『当たり前だ。…お姉さんなんだから』

衛｢約束…？｣

いつの間にしてたの？と聞くと、Aちゃんは小さく笑って俺に話してくれた。

・

雪宮side

これは、もう何年も前の、12月のお話。

剣介｢A姉ー、今年のクリスマス遊ぼー｣

『クリスマス？…ごめん、仕事だ』

剣介｢えー！…むう…じゃあ仕方ない。…いつのクリスマスなら、一緒に遊んでくれる？｣

『いつ、って…そんなの分からないよ』

剣介｢んー…じゃあ、俺が20歳になったクリスマス！一緒にお酒飲んで、プレゼント交換して…クリスマスを楽しもうぜ｣

『剣介が、20歳？…ふふ、随分先だね。それまで待てるの？』

剣介｢待つもん！大人だからな！…だから、その日は絶対空けとけよ！？｣

『わかった。約束だ』

・

『……剣介に会いに行けなかったが、でも…ちゃんと、予定は空いてたよ』

剣介｢…！ご、めん…俺…｣

『？そんな顔するな。遅くなってごめん…お姉さんが奢るから、一緒に飲みに行こう』

剣介｢うんっ｣

強く頷いた剣介は、昔みたいな可愛らしい顔で笑ってくれた。