[ツキプロ]サブマネという名の雑用係12 (ページ15)

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もしものお話①編6話ページ15

剣介｢…ここにしよ。ちょっと痛いよ｣

ぺろっ、と今から噛み付くであろう場所を舐めて、ゆっくりと牙を立てる。剣介の牙がぷつり、と私の肌を破って入ってくるのがわかる

『っ、うう…は、ぁ…』

痛いのは嫌いだ…。ぎゅっと目を閉じて痛みに耐えていると、首筋の絆創膏がゆっくり剥がされていくことに気付いた。

『な…ん…っ』

昂輝｢ごめんなさい…Aさん…｣

剣介｢なぁんだ…コウもじゃん｣

昂輝｢こんなっ…我慢、出来るわけないだろ…｣

剣介｢…今だけ、許して｣

昂輝｢限界になったら…言ってくれ｣

もう既に限界だよ。全身が痺れて動けない状態の中、私は昂輝と剣介、2人に牙を突き立てられた。

昂輝｢…Aさん。……Aさん｣

遠くで、コウの声が聞こえる。うっすらと目を開くと、めちゃくちゃ近いところにコウの顔があった。

昂輝｢あ…起きてしまいましたか｣

『…何してるの』

事務所の中のマッサージチェアに座る私と向かい合い、肘掛けに手をついて身を乗り出すコウは、鼻先が触れるくらいの距離にいた。

昂輝｢眠り姫は、キスで起きると思って｣

『…眠り姫ね』

昂輝｢うなされてました…大丈夫でしたか？｣

『…ん。コウ、私の首…何も無いよね？』

夢とはいえ、結構痛かった。確認のためにシャツのボタンを開けて首筋を晒すと、コウは静かに息を飲んだ。

昂輝｢…そうですね。綺麗な首筋です｣

『そうか。よかった』

首が寒い、とボタンをとめようとすると…昂輝の手が私の手に重ねられた。

『…？』

昂輝｢…確認ですよ。もう少し開きます｣

『…？？』

寝起きの私には、コウが何してるのかが理解出来なかった。だから…昂輝がボタンを外しているのを止めなかった。

昂輝｢綺麗な首筋…｣

『…？？？』

昂輝｢…ぷっ、間抜けな顔してますよ｣

優しい手つきで頬を撫でられ、さらに眠気がやってくる。いつの間にかコウはマッサージチェアを作動させていた

昂輝｢使わなくても眠れるなら、使ったら、よーく眠れるでしょうね｣

『こ…う…？』

昂輝｢？なんですか、俺ならここに居ますよ｣

『ん…ね、むい…』

昂輝｢…えぇ、おやすみなさい｣

…もし、彼らがヴァンパイアなら、どうなのだろう。

昂輝｢…｣

意識が落ちる前に見た、コウの妖艶な笑みが…答えのような気がする