もしものお話�（�4話 ページ13
衛｢わぁ…美味しそー！よかったぁ、俺、すっごいお腹ぺこぺこだったんだぁ！｣
昂輝｢ふふっ、衛もだったのか。さ、お食べ｣
『ぶふっ』
まるで飼い主が飼い犬にご飯を与える光景。それを目の前で見ていた私は、思わず吹き出してしまった。
涼太｢はしたない。人間の娘って、こんなにはしたないの？｣
剣介｢こーらー、リョウ。Aはリョウのストレス発散の為に連れてきたんじゃねぇよ？保護するためだ｣
『保護？』
衛｢もぐもぐ…あ、君がケンくんが保護した人間の女の子？｣
昂剣涼｢気づくのが遅い｣
衛｢はじめまして〜！藤村衛、改め、衛です｣
『…？藤村はどこに』
衛｢人間は名字と名前があるんだけど…ヴァンパイアは名前しかないんだよ。だから、衛｣
『人間…だったの？』
衛｢そうそう、そうなんですよ〜！瀕死の状態で倒れていたところをこちらのコウくんに助けられまして…命は助かったんだけど、ヴァンパイアになっちゃいました｣
えへっ、と笑う衛はまた食事の方に視線を戻す。美味しそうに食べてるのを見ると、普通の人に見える。
衛｢？Aちゃん、だよね。このご飯、普通の人も食べれるから大丈夫だよ。俺が証明！…ま、今はヴァンパイアだけど｣
昂輝｢人間の街で買った食材を使っているから、大丈夫だと思うぞ｣
涼太｢ヴァンパイアだって、人間の食事食べるんだよ？というかこっちが主な食事だし｣
『お前…人の血吸っておきながら…』
涼太｢だって…美味しいから｣
むすっ、とした涼太はコウの手料理を口に運んだ。…美味しい、って顔してる。
『…』
涼太｢…何見てんの｣
『…いや、美味しそうに食べるね』
涼太｢……コウの料理は、すごく美味しいから。俺のせいで警戒してるなら謝る。…だから、コウのことは信じて…ちゃんと食べて｣
さっきコウの名前を出して不機嫌になった涼太はなんだったのか…と、思うくらい、リョウは優しい顔でコウの料理を勧めてきた。
剣介｢うまい…こんで腹が満たされれば、Aのこと襲わずに済むでしょ｣
『襲う？私に勝てるとでも？』
剣介｢うわ怖っ…リョウにガッツリ痕つけられた奴が何言ってんだよ｣
涼太｢Aの血は別腹。俺はいける｣
剣介｢なんで今日そんな食い意地はってんの…？｣
衛｢Aちゃんの血の匂い、屋敷のどこにいてもわかるもんね｣
『そんな匂うのか、消臭しよう』
消臭剤、と立ち上がると彼らにくすくすと笑われてしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 31人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪藤 | 作成日時：2019年12月4日 15時
