もしものお話�（�2話 ページ11
｢もう…だからってそんなことすんなよな｣
｢……わかったよ｣
意識が回復し、目を開くと…なんか増えていた。
剣介｢あ、起きたか。大丈夫か？痛かったでしょ…リョウがごめんな？｣
涼太｢やりすぎた…ゴメンナサイ｣
部屋の中にある天蓋付きのベッドに寝かされていた私は、視線を動かして剣介を見た。
『ヴァンパイア、か…』
剣介｢…そ、ヴァンパイア。お前をここに連れてきたのは俺。そのせいで痛い思いさせてごめんな？リョウにはきつーく言っておいたから｣
ケンがここに連れてきた…？それはどういうことか、とケンに説明を求めると、リョウが説明してくれた。
涼太｢あんたの血は、特別なんだ。詳しくはわからないけど、よく狙われない？｣
『…さっき襲われた』
涼太｢俺のはノーカウントで｣
『…。』
剣介｢俺が見た時も襲われてたから、スコーンってやってひょいって連れ帰ったんだけど｣
『わからん、擬音で話すな』
涼太｢つまり襲われてるあんたを手刀で気絶させ、この屋敷に誘拐した、と｣
『襲われてるのに攻撃したのか。さては貴様が真の敵だな』
剣介｢なぜそうなる。助けたのに｣
馬鹿じゃねぇの、と真顔で言われたので真顔で頬をつねってやった。ヴァンパイアにも効果はあるらしい
剣介｢いででで、いひゃい！｣
涼太｢…｣
剣介｢助けたのに！酷い仕打ちだ！｣
涼太｢…｣
剣介｢リョウ、見てないで助けろよ｣
涼太｢…無理。ケンがちゃんと止血しないから、俺はお腹空いた｣
剣介｢……ダメだよ、リョウ。我慢｣
2人はちらちらと私の首筋を見ては唾を飲み込んでいる。首筋に触れると、絆創膏が貼ってあった。
剣介｢…我慢…うぅ｣
『…そんな顔で見るな』
涼太｢……ケン、噛み付いていい？｣
『なぜ俺を狙う』
涼太｢…噛みつきたい衝動に駆られてる｣
剣介｢共食いは良くない｣
『…』
剣介｢ねぇ、お姉さん？｣
『なに？』
剣介｢名前…なんて言うの？｣
『私は、Aだよ』
剣介｢Aね…おっけ。A、早速悪いんだけど…屋敷の中にいるコウか、衛探してきて｣
涼太｢…または俺たちに食べられて｣
『…。探してくるわ』
誰が大人しく食われるものか。部屋を飛び出して衛か昂輝の姿を探していると…迷子になった。
『…やっちまった』
｢…どうかなさいましたか、お嬢さん｣
後ろから伸びてきた手を見て、なんでかとても安心した。
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作者名：雪藤 | 作成日時：2019年12月4日 15時
