謎の夢編4話 ページ41
領主サマこと衛は私に自分の胸の内を明かすと、はっとして申し訳なさそうに笑った。
衛「ごめんね、初対面なのにこんな…」
『…いや、なんか…安心した』
衛はいつも私に遠慮がちだから、夢であっても話してもらえたことが嬉しい。
『私ね、衛のいいところいっぱい知ってるよ』
こっちの衛と同じか分からないけど…でも、私は衛のいいところ、好きなところを話した。すると、彼は頬を染めながら優しい笑みを浮かべた。
衛「ありがとう。…すごく嬉しい」
『…ふふ、伝わってよかった』
昂輝「…仲良しだな」
涼太「…」
剣介「…もしかして、彼女があれなんじゃない?」
同じ部屋で控えていた3人がこそこそと話し始める。すると、衛が立ち上がった。
衛「け、けけ、ケンくん!?ダメだよ今その話したら!!」
昂輝「なぜダメなんだ?俺は賛成だが」
涼太「コウがいいなら俺もいいけど。…でもAがねぇ?」
『…なんの話?』
剣介「あぁ、えっとねぇ」
衛「ダメだってばー!!…っあ!?」
昂輝「あ…」
ケンを止めようと1歩を踏み出した衛だが、袴の裾を踏んだらしい。そのまま私の方に倒れてきた
『!?』
衛「いたた…っ…!?」
勢いよく倒れた結果、衛の片手が私の着物を掴んで引っ張り、もう片方は肘が私の顔の横にきていた。…転んだ拍子に衛の顔が私の首筋に突っ込んだみたいだ
衛「………ごめん」
剣介「あーあっ、領主サマが町娘襲った」
昂輝「衛…Aさんがお嫁に行けなくなってしまう」
涼太「いいんじゃない?衛がもらうんでしょ」
『え…』
衛「え、あ…そのっ……ごめんね?すぐ直します!」
私の上半身を起こした衛はすぐに私の着物を直そうとしてくれた。…逆にぐちゃぐちゃにしてるけど
剣介「衛ー、もうやめとけ。本気で襲う気か」
『衛。自分で直せるよ』
衛「うぅ…」
着物を直して座り直すと、いきなりケンとリョウ、そしてコウが私の前に座って頭を下げた。
剣介「衛に、もらわれてくださいっ!」
『えっ』
涼太「どうか、この領主の支えになってください」
昂輝「俺からも、お願い致します」
夢は、本当に唐突だ。なぜかわからないけど、断るという選択肢が頭の中に無かった。受けるしかないようだ
『わかりました。…では……、っ』
衛「!?Aさ…」
いきなり頭に衝撃が来て真っ暗になっていく。遠くで優しい温かさと、私を呼ぶ声が聞こえる。
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作者名:雪藤 | 作成日時:2019年11月1日 19時